第四十九話 停戦その十七
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青い魔犬はだ。素早く何処かに消えた。それを見てだった。
髑髏天使は動きを止めた。死神もだ。
「消えたか」
「何処に行った」
「ここだよ」
その言葉と共にであった。二人に何かが来た。
それは青い液だった。それが二人に降り注いできたのである。
「液!?」
「あの液だと」
「そうだよ。この液はね」
どうかとだ。神の声だけがする。
「普通の液じゃないよ」
「少なくとも俺達の世界のものではない」
「そうだな」
「触れたら死ぬよ」
神は誇らしげに言ってきた。声だけでだ。
「全部溶けてしまうよ」
「ならばだ」
「消えるつもりはない」
こう言ってだった。髑髏天使と死神は今自分達がいるその場所から素早く退いた。その後ろに炎が迫ったがそれはものとはしなかった。
青い液はそれまで二人がいた場所に滴り落ちてだ。そこに出て来た岩を溶かし嵐を腐らせた。ここでまた神の声が聞こえてきた。
「こういうふうになるよ」
「それが貴様の戦いか」
「姿を消してか」
「そうだよ。僕はただ戦うんじゃない」
こう話す神だった。
「姿を消してそのうえでなんだ」
「相手を溶かしていく」
「その青い液で」
「この液に触れて大丈夫なのは僕だけ」
他ならぬ彼だけだというのだ。
「どんな存在でも忽ち消えてなくなるよ」
「それではか」
「我々の剣や鎌もまた、か」
「勿論」
声は既に勝ち誇っているものだった。
「そうなるよ」
「話はわかった」
「貴様の特性はな」
「そしてもう一つのことがわかったよね」
今度は神から問うてきたのだった。
「そのことがね」
「それは何だ」
「何だというのだ」
「僕が勝つということさ」
その勝ち誇った声での言葉だった。
「それがわかったよね」
「いや、わからない」
「それは全くな」
二人は強気なまま神に返した。
「そのことはわかりはしない」
「何故ならだ」
「何故なら?」
「勝つのは俺達だ」
「だからだ」
これが二人の返答だった。
「そういうことだ」
「それはわかっている」
「言うね。面白いね」
神は二人のその言葉を受けても余裕を見せている。
そしてだった。今度はこう言うのだった。
「じゃあ。譲歩してね」
「譲歩だと」
「そう言うか、今度は」
「うん、こういうことにするよ」
姿を消したまま言葉を出すのだった。
「僕が勝ったら君達は終わり」
「それは言うか」
「あえて」
「そうさ。そして君達が勝ったら」
その場合もだ。彼は話すのだった。
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