第四十九話 停戦その十四
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「そうしたことがだ」
「そしてその力を使ってか」
「今もか」
「そうだ。今度はだ」
そしてだった。男はこう言ってきた。
「荒れ狂う世界がいいな」
「乱れた世界か」
「そうした世界か」
「そうだ、嵐もあれば」
まずはそれだった。
「吹雪もあり炎もある」
「そして大地もあり」
「水もか」
「そうした場所がいいだろう。どうだ、その場所で」
男はここでまた二人に問う。
「どうだ。眠りの神よ」
「ああ、僕ね」
「貴様にも問おう」
彼もだった。戦う者とみなして問うのだった。
「それでいいか」
「うん、いいよ」
死神の返答は素っ気無い。
「別にね。文句はないよ」
「そうか。それではだ」
「問われる前に答えよう」
「私もだ」
二人は男の言葉を遮るようにして述べた。
「俺も構いはしない」
「どうした場所でもな」
「そうか。それではだ」
男がこう言うとだった。彼も含めて四人のいる世界が一変した。そうしてであった。
様々な色が混ざり合いせめぎ合っている場所だった。赤い炎と青い吹雪がぶつかり合い砕け散っている。黒い大地と白い風もだ。
水も雨も降り注ぎ下から火が沸き起こりだ。どれもこれもがぶつかり合いせめぎ合いモザイクになっている。そうした世界だった。
音も荒れ狂うまさに混沌とした中でだ。男はまた三人に言ってきた。
「これもまた混沌の世界だ」
「まさにという感じだな」
「そうだよね」
目玉が牧村のその言葉に頷く。
「これってね」
「そうだな。こうした異様な状況こそがな」
「確かに混沌の世界はだ」
その混沌の神の一柱の返答だ。
「常に何かが変わり何かが生まれ」
「そしてだな」
「何かが滅んでいっている」
死神の言葉に返すのだった。
「そうした場所だ」
「何の形も定まらずだな」
「何もかもが壊れ、そして溶けてただれていき」
赤い炎と青い吹雪にそれぞれ左右から照らされ黒い顔を不気味に輝かせながら。男は彼等に対して話をしていくのであった。
「そこから元の形になりまた滅ぶ」
「それが混沌だな」
「如何にも。そして」
ぞっとする笑みを浮かべてであった。
「貴様等の世界もすぐに同じになるのだ」
「生憎だがそうはならない」
牧村は男の言葉をすぐに否定してみせた。
「何があろうとな」
「その理由は」
「俺達がいるからだ」
ここのやり取りはいつもと同じだった。
「だからだ」
「そう言うのだな」
「如何にも。それではだ」
「出してきたら?」
目玉も言うのだった。
「今回の相手をさ」
「急いでいるのか」
「急いでいるんじゃないよ。待ってたんだよ」
目玉は男の赤と青に照らされている黒い顔を見て返す。
「戦うのをね」
「それでか
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ