第四十九話 停戦その十一
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「何処に座る」
「何処にか」
「そうだ、どの席に座る」
当然ながら席も全て木のものであり和風だ。座敷には座布団まである。壁の品書きも筆で丁寧に手書きされたものだった。
その店の中を見てだった。死神は牧村に問うたのだ。
「店のな。何処にだ」
「そうだな」
「私は何処でもいい」
「僕もだよ」
二人は構いはしなかった。
「どの席でもな」
「大事なのは料理だし」
「そうか。俺もだ」
そしてそれは牧村もなのだった。それでだった。
三人で空いている四人用の席に座ってだった。それでだった。6
注文を聞きに来た店の者にだ。こう話した。
「鍋だ」
「三人分だ」
「いいかな、それで」
「わかりました。それでなのですが」
店の者はすぐに三人にこう尋ねてきた。
「鍋の後はどうされますか」
「雑炊にするかどうか」
「そういうことだな」
「つまりは」
「そうです、それにされますか」
店の者はあらためて三人に問うてきた。
「それとも御飯はそのまま」
「いや、鍋ならだ」
「それしかない」
「そうだね」
三人の言葉はここで一致した。それでだった。
鍋の後にどうするかも決まったのであった。そうしてそのうえでだった。
三人でそのすっぽんを食べる。まずはだ。
牧村はそのゼラチンを食べる。それからだった。
「これがだな」
「最初にそれを食べるか」
「そうだ、食べる」
こう話すのだった。
「普通の肉はそれからだ」
「ゼラチンが好きか」
「実際に好きだ。それにだ」
さらに話す彼だった。
「これは身体にもいい」
「身体にもか」
「だから食べる。ゼラチンをまずな」
「成程ね。相変わらず健康にも気を使ってるんだ」
目玉は野菜を食べている。葱に白菜だ。そうしたものを食べながらである。そのうえで牧村の言葉を受けて話すのであった。
「偉いね」
「当然だと思うが」
「いや、それでもだよ」
「凄いというのか」
「うん。僕そういうの全然してないからね」
彼はだというのだ。言いながら笑顔でその野菜を食べていく。
「だから余計にそう思えるよ」
「そう言うか」
「うん。じゃあ僕も」
「そうだな」
死神がここで目玉に言う。
「そうするべきだな。神といえどもな」
「これまで食べたいものを食べたいだけ食べてきたけれど」
「発想を変えることだ」
「発想を?」
「そうだ。身体にいいものを好きになる」
死神の話ではそうであった。そうしろというのだ。彼は普通のすっぽんの肉を自分の碗に入れている、そのうえで食べていた。
そしてだった。彼は言うのだった。
「そうすればいいのだ」
「それで食べたいものを食べれば」
「自然に身体のいいものを食べるようになるな」
「そういう
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