第四十九話 停戦その十
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「それはな」
「思わなかったよね」
「すっぽんは昔薬だった」
江戸時代では実際にそうだった。そういう瞑目で食べていたのだ。
「だからだ。そうそう簡単にはだ」
「食べなかった」
「そうだったんだ」
「だからそうそう簡単にはな」
また言う牧村だった。
「食べはしないがな」
「ではどうする」
「止める?」
目玉が二人に話してきた。
「他のものにする?」
「いや、それでもだ」
「ここはだ」
だが、だった。牧村と死神は彼にこう返すのだった。
「俺は長い間すっぽんを食べていない」
「私には人間のそうした考えは関係ない」
二人の言葉は違っていた。しかしであった。
二人でこう話してだ。すっぽんについて決めたのだった。
「食べるとしよう」
「そのつもりだが」
「そういうことだね。それじゃあね」
目玉も笑顔になっていた。目が笑っていた。
「これから行こうね」
「そうだな。しかしだ」
ここでだった。牧村は目玉を見て話すのだった。
「貴様も来るのだな、店に」
「そのつもりだよ」
「その姿でだな」
言うのはこのことだった。
「その姿で店に入るのか」
「いつもそうしているけれど」
「誰も何もを言わないのか」
牧村はヘルメットの中からいぶかしむ声を出して目玉に言うのだった。
「その姿で店に入って食べてもだ」
「全然。平気だけれど」
「何故だ」
それを聞いていぶかしむ彼だった。
「何故それで何も言われない」
「何もってね」
「本当に言われないんだな」
「そうよ、言われないよ」
目玉はまた言う。
「だから全然平気だから」
「妙な話だ」
「それについてだが」
死神が牧村に対してこのことについて話してきた。
「人の視覚は操作できるのだ」
「見ることをか」
「目玉は我々にはありのままの姿を見せているのだ」
「しかし他の人間にはか」
「そうだ、子供に見せている」
そうだというのだった。
「だから何の問題もないのだ」
「そういうことなんだ」
目玉はここでも牧村に対してその目を笑わせて述べた。
「だから大丈夫なんだ」
「それは知らなかったな」
「言わなかったっけ」
「初耳だ。しかしだ」
「これでわかってくれたな」
「うん、それじゃあね」
「行くか」
こんな話をしてだった。一行はそのすっぽんの店に向かったのだった。
バイクで行けばすぐだった。道路の脇にあるその店は外観は料亭風である。門が大きく厳しい。バイクは駐車場に停めてその門をくぐってだった。
そのうえで店に入るとだった。中もまた和風だった。
木造であり白い壁と茶色の木の柱がある。寿司屋のそれを思わせる内装の店であり水槽にはそのすっぽん達が泳いでいる。
そのすっぽんを見てだ
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