空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 後 (アリサ、すずか)
[9/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
サは考える。アリサの興味を引くような可愛いものもあれば、カッコイイといえるようなものまで様々なものがあった。案外、どんな顧客にも対応できるようにしているのかもしれない。
「ねえ、どれが好き?」
興味深く、目移りしながら見ていたアリサの耳を不意に翔太の声が打った。
突然の翔太の声に思わず驚きの表情と共に翔太の顔を見てしまう。そうすると彼はまるで悪戯が成功したように笑い、さらに続けて、驚くようなことを口にした。
「だから、どれが好き? プレゼントするよ」
―――ぷれぜんと、プレゼント、プレゼントっ!?
アリサが翔太の言葉を理解するまでに若干の時間を要した。あまりに突然すぎる言葉に彼女が状況を理解するのに時間を要しただけだったのだが。だから、理解してしまった瞬間、思わず「本当なのっ!?」と身を乗り出して翔太に聞いてしまった。彼も身を乗り出したアリサに若干驚きながらも頷いてくれる。
翔太の言質を取って、アリサの心は歓喜に震える。理由はよく分からないが、どうやら翔太がこの中の一つをプレゼントしてくれるというのだから。もしかしたら、これが、母親に聞いた男の甲斐性というやつなのかもしれない。だが、しかし待てよ、とアリサの中でブレーキがかかる。
翔太は言った。どれが好き? と。つまり、それは翔太はプレゼントをアリサたちに選ばせるつもりなのだろう。だが、それは違うだろう、とアリサは思った。お金を出すだけがプレゼントの意味ではないだろう、と。プレゼントする人が選んでこそ、物に価値が宿るのだから。もしかしたら、翔太にはセンスの自信がないのかもしれない。だが、それはそれで乙なものだ。
だから、アリサは翔太を窮地に追いやる一言を口にする。
「でも、あたしたちが選んだのをショウがプレゼントするっておかしいわよね?」
「そういえば……」
しかも、幸いなことにすずかも同調してくれたようだ。顎に人差し指を当てて、考え込むような仕草をしながらアリサの考えに同調するような言葉を出してくれた。そして、翔太が困ったような表情をすることを期待して二人してニヤニヤと彼を見つめる。
翔太は彼女達の想像を裏切らないように困ったような表情を浮かべながら、後頭部をガシガシと掻いた後、真剣な表情で考え込むように真剣な目でアクセサリーを見始めた。そんなに真剣にならなくてもいいのに、とは思うが、本気で選んでくれているようで、それはそれで嬉しかった。
やがて、少し時間をかけてようやく翔太は二つのアクセサリーを選んだ。それらの会計を済ませて翔太はアリサとすずかにそれぞれアクセサリーを手渡す。
アリサに手渡されたのは太陽をあしらったアクセサリーで、すずかに渡されたのは月をあしらったアクセサリー。センスはそれなりで
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ