空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 後 (アリサ、すずか)
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常に柔らかいのだ。我が母親ながら、非常に不思議なものだった。
「特にアリサは私の娘なんだから」
にんまりと笑う梓。先ほど考えていた事が見透かされたようで、アリサは少しだけドキッとしたが、偶然だったのだろう。顔をこわばらせたアリサに、どうしたの? と不思議そうな顔をしているのだから。
なんでもないわ、とアリサは誤魔化し、梓の腕から逃れると再び風景に視線を移し、ふぅ、と息を吐きながら思った。
―――そっかぁ、大きくなるんだ。
平らな胸をこっそりと触りながら、アリサはまだ見ぬ将来に思いを馳せるのだった。
◇ ◇ ◇
アリサ・バニングスは、四方を仕切られた更衣室の中で、渡された浴衣に着替えていた。アリサが選んだ浴衣は、すずかとは対照的な白の明るい色だ。前は、主に白を好んでいたすずかだったが、最近はどうやら暗い色も好み始めたらしい。そういえば、あのワンピースを着てからだろうか。白が好きだ、と言っていた彼女が暗色系の服も着るようになったのは。今回も、すずかは黒を基調とした浴衣を選んでいた。
だから、アリサは、コントラストではないが、反対の白を選んだのだ。そもそも、翔太もすずかも黒で、さらに自分も黒を選んでしまえば、非常に暗い集団になってしまう。せめて一人だけでも彩が欲しいではないか。一人だけ暗色系の浴衣ではないとはいえ、バランス的には、アリサが白というのは間違いではない。
そんなことを考えていたためだろうか、着替えるのに手間取ってしまったようだった。隣の更衣室で着替えていたはずのすずかの声がアリサの更衣室の布越しに聞こえたからだ。
「どう……かな?」
「うん、可愛いと思うよ」
恐る恐るといった様子のすずかに対して、少し間を置いて翔太の褒める声が聞こえた。翔太がすずかの浴衣を褒めたことに気を取られながらも、アリサは着替えるスピードを上げた。アリサとすずかが同時に着替え始めたはずなのに片方だけ遅いというのは、気になるからだ。早く着替えなければ、と思いながらアリサは手の動きを早めていく。それから間もなくアリサは浴衣に着替え終える事ができた。
やや気がせきながらも、少し乱暴に更衣室のカーテンを開く。
「どうよっ!」
思ったよりも大きな声が出てしまったらしい。突然のアリサの声に驚いたような表情を見せながら、翔太とすずかの視線がアリサに向けられる。
見られているという視線に人というのは意外と敏感だ。翔太とすずかの視線が自分に向けられているのが分かる。特に翔太は上から下まで順番に見ているようだった。上から下まで見た翔太は再びアリサに視線を合わせるといつも浮かべている笑みのままで言う。
「うん、似合ってると思うよ」
翔太の口から出て
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