空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 後 (アリサ、すずか)
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配も、今日で終わりだ。高町なのはの用事を終えた翔太はきっと、以前と同じように自分とも付き合ってくれるだろう。すずかのことは少しだけ不安だが、それでも自分と一緒にいることを嫌がっているわけではない。だったら、きっと元に戻れるはずだ。一ヶ月前と同じような関係に。
その後は、ゴールデンウィーク前半のことで盛り上がっていく。きっかけは翔太からだったが、少し前と同じような空気になって、アリサは少しだけ嬉しくなり、心が躍った。昔のように三人でお喋りしながら、きっと、この三日間も楽しいものになるに違いない、とアリサはある種の確信を抱いていた。
そんな彼女達を乗せた車は、一路、温泉旅館へ向けて速度を上げて向かっていた。
◇ ◇ ◇
「わ〜、綺麗っ!」
アリサ・バニングスは温泉から見える風景に歓声を上げていた。同時刻、隣の男湯で翔太が、同様の風景に呆けていたことはまったくの偶然だが。
アリサたち一行が、温泉地についたのはつい先ほど。フロントでこういう場所には不慣れなのか、いつも落ち着いている翔太がオロオロしていて、珍しいものを見た気分になった。もしも、彼が外国のアリサが泊まるようなホテルに行ったらどうなるのだろうか。ここよりもサービスが行き届いているのだから。そんな翔太を想像して少しアリサは、笑ってしまった。幸いなことに翔太に気づかれることはなかったが。
そして、チェックインして、すぐに温泉へと向かった。温泉旅館に来たのだから当然だ。そして、アリサが三人でこの旅行を楽しむということを決めた以上、お風呂も三人ではいることは、彼女の中で確定事項だったのだが、なぜか、翔太に酷く嫌がられてしまった。もしも、翔太が頑なではなく、やんわりと断わったのであれば、アリサも仕方ないか、と諦めるような部分があっただろう。だが、翔太が強く、頑なに拒むものだから、そんなに親友である自分達と一緒にお風呂に入るのが嫌なのか、と勘ぐってしまい、無理にでも連れ込もうとしてしまった。
しかしながら、そのアリサの思惑は、アリサの父であるデビットによって阻止される形になってしまったが。三人で一緒に入れないことは確かに残念だったが、その代わり、明日の約束は取り付けることに成功した。そう、明日もあるのだ。だから、焦ることはない。そう、アリサは自分に言い聞かせた。
「アリサ、いつまでも外にいると風邪をひくわよ」
母親の梓に言われてみれば、確かに現状はバスタオル一枚の一子纏わぬ姿だ。誰かに指摘されて自覚すると、急に肌寒さを感じたような気がした。せっかくの旅行なのに風邪をひいては、意味がないと、アリサは急いでバスタオルを頭に巻いて、体を洗った後、ゆっくりと湯船に浸かる。温泉というだけあって、いつも浸かっている家のお湯よりも若干
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