空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 後 (アリサ、すずか)
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方ないか、とアリサは気分を切り替える。どうせ、これから三日間はずっと一緒にいるのだ。ならば、前半に遊べなかった分まで取り戻すように遊べばいい。そう考えると、段々とこの旅行が楽しみになってきて、ワクワクがとまらない。まだまだ、旅館にすらついていないというのに。
はやく、はやく、と急かすアリサの心に応えるように翔太の家に着いたのは、すずかの家を出発してから十五分程度のことだった。何度か来た事がある翔太の家の門が見えた。本来であれば、すずかと同様に翔太を拾うだけでいいはずなのだが、翔太の両親からの願いで、アリサの両親と挨拶することになっており、一度車を降りるようだった。
それにアリサがついていく必要はなかったのだが、先ほどから感じているワクワクに後押しされるような形で、アリサもデビットと梓についていった。残念なことにアリサには無駄としか思えない井戸端会議のような会話が交わされ、一刻も早く出発したいアリサは、苛立ちを感じてしまったが、それが功を奏したのか、アリサの母である梓がいつも費やしている井戸端会議よりもかなり短い時間で、話を切り上げることができた。
翔太を伴って車へと乗り込もうとしたとき、不意にアリサは足を止めて考える。
このまま自分が先に乗れば、すずか、アリサ、翔太の順番に座ることになる。ある意味、いつもの座り方だ。もしも、何事もなければ、アリサもこの順番を好み、そのまま乗り込んだことだろう。だが、状況が少し前と異なる。その原因は、すずかだ。アリサが悩んでいる『恋』が彼女を変えたのか、すずかはアリサと翔太を比べた場合、翔太に話しかける傾向が強くなってしまう。もしも、このまま乗り込めば、すずかは、自分を挟んで翔太と話をしてしまうのではないだろうか。そんな懸念が生まれたのだ。
真ん中に座っていれば、話に入ることは難しいことではないだろうが、最初から自分を挟んで会話されてしまえば、ものすごく疎外感を感じてしまう。ならば、とアリサは乗り込もうとした足を止めて、道をアリサが乗り込むのを待っている翔太に譲った。
「なにやってるのよ? 早く乗りなさいよ」
「え?」
ちょっと逡巡する翔太だったが、やがて諦めたようにアリサよりも先に乗る。それを見届けてアリサが、デビットが、梓が順番に車に乗り込んだ。乗り込んだのを鮫島が確認したのか、ドアがばたんと閉じられた後、ゆっくりと車は発進する。車が発進したというのに揺れが少なかったのは運転手である鮫島の運転の腕であるが、アリサにとっては普通のことなので、特に気にすることはなかった。
「ショウくん、久しぶりだね」
「うん。そうだね」
車が走り出した途端、さっそくすずかが翔太に話しかける。やっぱり、と思うと同時に二人だけで話されると、何所となく疎外感を感じてしま
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