空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 後 (アリサ、すずか)
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た。珍しいものを見た、と思いながらも、今はこの心臓の鼓動の中一人でいることが怖くて、アリサは翔太に近づくと声をかけた。
「ショウ、なにしてるの?」
「―――アリサちゃん?」
アリサがここにいるのは意外だったのだろう。アリサの声に反応した翔太は驚いた顔でアリサを見ていた。そんな翔太を無視して、アリサは翔太の隣に座る許可を貰い、隣にストンと座り、しばしの静寂の後に不意に切り出した。
「ねえ、ショウはチュウしたことある?」
ぶっ! と翔太が噴出すのが分かった。確かに不意打ちにしては、やや威力のありすぎるようなものだったかもしれない。
アリサも、そのことについては承知している。しかしながら、聞きたかったのだから仕方ない。
先ほどの彼らが何をしていたか、その行為の意味は分かっていた。確か、キスというものだ。ただ、それを言うのは恥ずかしいので、チュウという言葉になってしまったが。
好きという行為を表す行為。アリサだって、梓がデビットにしているのを見たこともあるし、アリサがデビットや梓にしたことだってある。だが、あれとは意味が違うだろう。アリサのはあくまでも親愛。だが、彼らのはアリサが知りたくて仕方ない『恋』という感情に起因するものだからだ。
翔太に聞いたのはなんとなくだ。いつもなんでも知っているような翔太であれば、もしかしたら、と思ってしまうのだ。
だが、翔太の答えは、NOだった。その翔太の答えにアリサは少し残念なような、少し嬉しいような複雑な感情だった。もしかしたら、そのときの体験を教えてもらえば、『好き』が分かるかも、と期待したところもあったし、翔太が自分よりも先に進んでいないとわかって安心したところもある。
だからだろう、自分でも考えもしないうちに言葉が出てきたのは。
「ねえ、チュウってどんな感じなのかしら?」
言ってから、何を言ってるんだろう!? と慌てたが、すぐに、いい考えじゃないか? と思ってしまった。
好きという感情を表すキスという行為。ならば、もしかしたら、キスをすれば好きという感情が理解できるかもしれない、と思ったからだ。だが、アリサは、好きという感情とキスという行為が、不可逆ということに気づいていない。それが不可能だということに。
だが、先ほどその行為を見てしまったのと、夜という雰囲気がアリサの肩を押したのか、先ほど見た行為と漫画や小説の中で見たことを思い出しながら、目を瞑り、顎を上げた。
これでいいのかしら? と不安になる。目を瞑ってしまい、翔太の姿が見えないから尚のことだ。しかも、目を瞑ってしまったことで余計な事が頭に浮かんでしまう。
―――あれ? このままチュウしたら、鼻ってぶつからないのかな? 口が合わさったらどうや
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