空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 後 (アリサ、すずか)
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「はぁ、どうしようかしら?」
そう悩んだところで、解決策など何もない。アリサが考えていることは暗闇の中を闇雲に歩いているようなものだ。突然、光明が見えるかもしれないが、暗闇の中を歩き続けるかもしれない曖昧なものである。ならば、アリサにできることなど数少なかった。
精々、翔太がすずかを『好き』にならないこと、自分が早く『好き』を理解することぐらいである。後は考えても仕方ない。
そう思ったアリサは、普段はまったく信じていない神様に都合よく祈ると、再び明日からの旅行にテンションのエンジンを上げ、枕元においてあったパンフレットに手を伸ばすのだった。
◇ ◇ ◇
次の日の天気は、まるでアリサを祝福するように旅行日和の快晴だった。旅行もきっと上手くいくと思わせるような雲ひとつない青空が広がる天気だ。のんびり車に移動する母親の梓と父親のデビットを急かしてアリサは車に乗り込む。最初の目的地は二人の親友のうち、月村すずかのほうだ。温泉旅館への経路等を考えるとそれが最適らしい。もっとも、そこらへんはすべて執事の鮫島に任せているから、アリサもデビット、梓も詳しいことは分からなかったが。
すずかの家に着くと月村家のメイドであるノエルが出迎えてくれた。すずかが出てきたのは、彼女達が出迎えてくれたすぐ後だ。おそらく準備は既に済んでいたのだろう。アリサと同じぐらいのバッグを肩にかけたすずかが姿を見せた。
おはよう、と笑顔で、お互いに挨拶を交わし、すずかが乗り込んでくる。荷物は既にトランクの中である。さて、すずかが合流したところで、旅館へ行くために拾っていくのは翔太だけとなった。アリサを乗せたリムジンは、静かに月村邸から出発し、蔵元家へと進路を取る。
翔太の家までの短い道のりで、アリサとすずかはお互いに情報を交換する。この短いゴールデンウィークに何をしていたか、を。アリサは、近くのショッピングモールに母親と出かけたことぐらいだろうか。普通なら外国へ旅行へ行ったりするのだが、今年は父親のデビットの都合がつかなかったので仕方ない。代わりにすずかと翔太を誘って温泉旅行にいけるのだからアリサとしては文句の言いようもなかった。
すずかは? と尋ねてみると、彼女も似たようなものらしい。どうやら、今年はどこかに出かけることを姉の忍が嫌った様子で、今年のゴールデンウィークは珍しく、本を読むなどして静かに休日を満喫していたらしい。
その話を聞いて、それなら、誘えばよかった、とアリサは後悔した。今年もすずかはどこかに出ているのだろう、と勝手に勘違いしてしまったのが原因だった。さらに言うと、旅行中は携帯の電源を切っておくことは当然なので、携帯で確認を取ることもなかったのだ。
まあ、後悔しても仕
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