ALO編
六十話 桐ケ谷家の朝
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桐ヶ谷涼人の朝は本人の性格に反して人としては規則正しかったりする。
先ず朝五時五十分ごろに携帯端末のアラームが鳴る。のろのろと布団の中から手を伸ばし、携帯のボタンを押してそれを止めると、一度パタリと腕が力を失って垂れ下がる。だいたい五秒後に再び布団がもぞもぞと動き出して涼人が起きあがる。「あー」だの「うー」だのと言語として意味を持たない音を口から発しつつものろのろと箪笥からジャージを取り出し、寝巻として使っている少々大きめで厚手のシャツと下の布ズボンを取り換える。
従兄妹達を起こさないように廊下を歩き、階段から一番奥の自分の部屋から直葉と和人の部屋を通り過ぎて下に降りる。洗面所で顔を一度洗い、外に出て軽く準備運動をしたら町内を軽く走ると言うのが最近の日課だ。
「ほっほっほっ……」
町内半周。筋力が落ち、碌な体力も戻って居ない以前の身体では時間をかけてゆっくりとその工程を走っていた物だが、今はだいぶ筋力も戻り、体力もSAO以前とはいかずともそれなりに戻っているので、無理の無い程度で町内一周でも走れるようになった。
「とーちゃく。っと」
桐ヶ谷家がある埼玉県川越市は基本住宅の多い地域だ。家々の間をトントンと走り、大通りや公園を経由して家へと戻って来る。時計を見ると六時半。タイムも縮まって来た。
軽くクールダウンしてから家に入る。汗を流し、部屋着に着替えて、前日の内に家族全員から出されていた洗濯物をジャージと一緒に洗濯機にブチ込む。そのままスイッチを入れようとして……
「りょう兄ちゃんおはよ〜ってあ!待って待って」
「おう、スグおはようさん。ってまたか、早く出せ」
「は〜い」
後ろから呼びとめられ、振り返った所に居たのは涼人の従妹。直葉だった。直葉は毎朝剣道の素振りをするのが日課で、既に姿衣は黒い袴に白の道着。右手には竹刀を持っている。後ろから寝巻らしき服のを次々に洗濯機に投げ込んでいく。その内一つを……
「よっと」
「へ……みゃあ!?」
キャッチ。
直葉が涼人が驚くべき動体視力と反射神経で手に取った物を見て悲鳴を上げる。それは直葉の……ブラジャーであった。
「な、何でわざわざそんなの手に取るのよ!?」
「いや?なーんつーか……」
涼人は手に取ったブラジャーと、道着の直葉の胸部分を見比べてしみじみとした調子で言う。
「胸、でかくなったなぁお前」
「むにゃ!?」
「いやぁ、二年前何かもっとぺったんこで──「ニャアアアアアアアア!!」うわっ馬鹿!!竹刀は痛いってへぶっ!!?」
朝方の桐ヶ谷家に、バシッ!と言う打撃音が木霊した。
────
「いつつ……からかい過ぎちまったか」
ははは……と笑いながら涼人は朝食の準備をする。本日の朝ご飯は、と考えた所で、そう言えば賞味期限の切
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