空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 前 (アルフ、デビット、なのは)
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ない。もしも、彼女達と同じように翔太からプレゼントを貰ったなら、それはきっとなのはにとって一生の宝物になるだろう。いや、そうするつもりだ。
だから、なのはにとってそれほどの価値があるものを貰って、無邪気に喜んでいる彼女達が羨ましかった。それを当然と思っている彼女達が妬ましかった。
それ以上、彼女達が浮かれている映像を見たくなくて、そんな彼女達を見て、微笑ましそうに笑っている翔太を見たくなくて、なのはは静かにウォッチャーからの映像を切った。そういえば、昨日もこんな感じでウォッチャーからの映像を切ったな、と思いながら。
もしかしたら、彼女達はなのはを苛立たせる天才なのかもしれない、と思いながら、今も胸の中に燻り、ドロドロと蠢く黒いものを解消するためになのはは自らの愛機を手にとって外に出た。外で思いっきり魔法でもぶっ飛ばせば、少しはこの気持ちが晴れるだろうか、と思いながら。
「ショウくん寝ちゃった」
ウォッチャーからの映像を見ながらなのはは呟く。
魔法を思いっきりぶっ放すことで多少は気が晴れたなのはは、夜になって再び翔太の様子を伺っていた。確かに彼女達を見るとイラつくなのはだったが、逆に翔太が笑っているところを見ると心が安らぐのだ。できるだけ彼女達を視界に納めなければ、確かに翔太はなのはにとっての清涼剤になっていた。
そんな彼も眠ってしまった。彼に釣られるようになのはもふぁ〜、と大きく欠伸をする。
高町なのはの就寝時間は意外にも早い。なぜなら、彼女は朝が早いからだ。彼女の早朝魔法訓練は欠かせない日課になっている。その分、夜が早いのは自然の摂理ともいえた。もっとも、今日はゴールデンウィークということもあって少しだけ遅い時間に寝ているが。
しかし、翔太が寝てしまった以上、彼女が無理して起きている理由はない。既にお風呂に入って眠る準備が万端だったなのはは、ベットの中に入って部屋の電気を消す。元から無理して起きていたのが祟ったのか、ベットで横になるとすぐに眠気は襲ってきた。この分だとすぐに眠れそうだ。しかも、直前まで翔太の顔を見ていたのだから今日はいい夢が見れそうだった。
「おやすみ、ショウくん」
ウォッチャーの中の翔太におやすみを言うとなのはの意識はすぐに夢の中へと誘われた。ウォッチャーの中に映し出された翔太と同じくすぅ、すぅという小さな寝息を立てて、寝てしまった。
なのはがそれ以降の光景を見なかった事が幸か不幸か。それは空に浮かぶ月だけしか知らなかった。
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