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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 前 (アルフ、デビット、なのは)
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様子をなのはは羨望の眼差しで見ていた。

 友達と一緒に旅行へ。その言葉は、一人だったなのはにしてみれば、夢のような言葉だ。

 どうして、自分があの場所にいない? どうして、あの場所にいるのがあの二人なのだ?

 羨ましい。妬ましい。悔しい。様々な感情が入り乱れる中、苛立ちとどす黒い何かで一杯になった心は、それ以上、その情景を見ることを拒否したため、ちっ! という舌打ちと共にウォッチャーからの映像をぶった切ると心の中にある燻るような苛立ちをぶつけるためにゴールデンウィークの課題へと向き合うのだった。



 さて、一夜明けてなのはは再びウォッチャーへと映像を繋いだ。金髪の女や黒髪の吸血鬼が楽しそうにしている映像を見るのは、あまり見たくないのだが、それよりも翔太の様子が気になるのだ。だから、彼女達をあまり視界に入れないように気をつけようと思いながら、なのはは懲りずにウォッチャーへと映像を繋ぐ。

 映像に映ったのは、黒染めの浴衣に身を包んだ翔太の姿だった。

 ―――かっこいいな……。

 聖祥大付属の制服姿の翔太もかっこいいとは思うが、見慣れない格好だからだろうか、それ以上に翔太がかっこよく見えてしまった。その様子を見られただけでも懲りずに映像を繋いだ甲斐があろうというものだ。もっとも、その後に出てきた金髪の女の浴衣姿と黒髪の吸血鬼の浴衣姿は蛇足もいいところだったが。

 その後は、温泉街なのだろうか、商店街のようなところに彼らは繰り出した。なのははできるだけ翔太のみを映す出すようにウォッチャーを調整し、彼が楽しそうに商店を回る映像を余すところなく楽しんでいた。彼が笑っている表情を見るだけでなのはの心は軽くなり、楽しくなる。昨日のささくれていた感情が嘘のようだ。

 ただし、時折、翔太のみを映すように調整しているにも関わらず、くっつくように体を寄せ、近づいている金髪の女や吸血鬼は邪魔というほかなかったが。しかし、それでも常に彼女達が入っていた昨日よりもましだった。

 もしも、彼がこのまま何事もなく商店を回るだけで終わっていたなら、なのはも翔太の笑顔を堪能する午後を過ごせただろう。だが、そうは問屋はおろさなかった。

 急に翔太たちが足を止めて、屈みこみ何かを覗き込んでいた。何を覗き込んでいるのだろう、となのはが気になって映し出してみるとそれは、シルバーアクセサリーといわれるものだ。今まで、そんなものに興味がなかったなのはは、一つも持っていない。

 ―――ショウくんはこういうのに興味があるのかな?

 もしも、彼がそういうものに興味があるのなら、なのはも一つぐらい買ってみてもいいと思った。もしかしたら、なのはが身に着けることで、翔太の興味が引けると思ったからだ。あるいは、彼に似合いそうなものをプレゼ
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