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リリカルってなんですか?
空白期(無印〜A's)
第二十三話 裏 前 (アルフ、デビット、なのは)
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は決まらない。宿題の提出状況などを鑑みられるのだ。そのため、たかが宿題といえども手を抜けない。

 問題が解けない苛立ちから目を逸らすように、なのはは机の隅に置かれた携帯電話に目を向ける。

 過去には、電源すら入れず、机の上におくだけという状況になっていた携帯電話も、今では、その役目を果たすべく、充電もされており、電源もしっかりと入っていた。過去のなのはからは考えられないが、翔太という友人ができたなのはからしてみれば、それは当然のことだ。

 なぜなら、その携帯電話はなのはと翔太を繋いでくれる機械なのだから。

 着信履歴やメールの受信履歴を見れば、そこには蔵元翔太の名前しか並んでいない。さらに言うと着信履歴や受信履歴に比べて発進履歴や送信履歴は驚くほど少ない。もっとも、相手がすべて蔵元翔太という点は変わらないが。

 基本的には電話は着信履歴が残っていた場合、メールは返信しかしていないのだから当たり前だ。

 なのはは未だに恐れている。もし、自分から電話して、そのタイミングが悪くて翔太に嫌われてしまったら? メールの文章で彼を怒らせてしまったら? そう考えるとなのはから電話やメールをするのを躊躇してしまうのだ。過去に何度か挑戦しようとしたが、そのたびに指が振るえ、結局断念してしまう。

 そして、それは本当の意味での友達になった今でも変わらない。いや、むしろその傾向は強くなったというべきだろう。なにせなのはからしてみれば、ようやく手に入れた本当の友達だ。自分の不手際で失いたくない。だからこそ、自分からは動かない。動けない。

 ―――私もショウくんみたいに『いい子』だったらなあ。

 度々思う。もしも、翔太のように何も間違わなければ、いい子で誰にも嫌われる事がなければ、なのはだって、自分から彼に電話する事だってできただろう。しかし、なのはにはできない。なのはは翔太ではないからだ。彼女にできることは彼のようになりたいという羨望の眼差しを向けることと自分からは間違えないように彼が近づいてきてくれるのを待つことだけだ。

 前は前者しかできなかったことを考えれば、大きな進歩だとなのはは思う。

 ―――ショウくん、今何してるかな?

 不意にそれがきになった。彼のことを考えていたからだろうか。あるいは、昨日のパーティー以来、彼の声を聞いていないからだろうか、姿を見ていないからだろうか。どれでもよかった。とにかく、今のなのはは翔太の事が気になって仕方なかった。

 今までなら、この感情を押し殺して、どうせ、できない、と投げやりになっていただろう。だが、今は違う。

「えへへ」

 やりかけていた宿題も放り出してなのはは、翔太の姿を見られることに期待して笑いながら一つの魔法を展開する。

 探索魔法(
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