暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第四十八話 妖神その二十一
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

「敗れた者はそのまま消える」
「潔くか」
「潔くではない」
 それは否定するのだった。
「命が消えようとしているからだ」
「それでだ」
「それでだというのか」
「如何にも。ではだ」
 炎が既に身体の半分を覆ってきていた。
「私はこれで去ろう」
「ではだ」
 また言う髑髏天使だった。
「これでな」
「これでだ」
 こうして神は消えた。緑の炎が青と赤の炎の中に消えていくのだった。
 これで戦いは終わった。それでだった。
 髑髏天使も死神も元の姿に戻った。二人はそのうえで顔を見合わせた。
「この戦いも終わったな」
「今な」
 死神が牧村の言葉に応える。
「確かに終わった」
「その通りだ。ではだ」
「私はこれで帰るとしよう」
「何処かに行くつもりか」
「そうだな。さしあたってだが」
「何処に行く」
「港に行く」
 そこにだというのだ。
「南港という場所があるな」
「そこに行くのか」
「そしてそこで海を見る」
 そうするというのだった。
「いい場所らしいからな」
「いい場所とは思わないがな」
「その南港はか」
「大阪ではよく言う。南港に浮かべるぞとな」
「脅し文句だな」
「そうだ。その手の者が気に入らない者を始末する場所だ」
 俗にそう言われている。真偽は今一つ不明だが。
「そう言われている」
「では尚更いい」
「貴様にとってはだな」
「私は死神だ」
 このことが大きいのであった。彼自身のそのことがだ。
「だからだ。それでだ」
「まつろわぬ魂を送るのだな」
「それもまた死神の仕事だ。いや」
「むしろだな」
「そちらの方が主な仕事だ」
 完全に死神としての言葉だった。そこから語るのだった。
「だからだ。そうする」
「では今から行くな」
「そうするとしよう。だが」
「そうだな」
 ここで、だった。二人の言葉が変わったのだった。
「何か用か」
「俺達に」
 彼等は身体ごと後ろを振り向いた。そのうえでだった。そこにいる彼等に問うた。
 見ればそこにはだ。魔神達がいた。しかもである。
「全員で来たか」
「ここに」
「はい」
 彼等の真ん中には老人がいた。彼が応えてきたのだ。
「そうさせてもらいました」
「それではだ」
「何の用だ」
 二人はその老人に対してまた問うた。
「戦いか」
「妖魔達との戦いの前に」
「いえ」
 しかしだった。ここで老人は言うのであった。
「そうではありません」
「では何だ」
「何の用で来た」
「そのことですが」
 老人は語りはじめた。そしてそれは。魔神としての存在にも関わるような、二人にとっても驚くべき話なのだった。それが今語られるのだった。


第四十八話   完


          
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ