第四十八話 妖神その二十
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「それでだ」
「こうして攻撃を続けたのだ」
「それにだ」
髑髏天使はここでさらに言うのだった。
「この蒸気だ」
「蒸気がだと」
「貴様の身体を覆ってきているな」
その蒸気はまさに霧の様になっていた。濃い、戦いの場を完全に覆わんばかりにだ。そこまで立ちこめてしまっているのだった。
その蒸気を見ながらだ。彼は言うのであった。
「それが貴様をさらに弱らせていく」
「水か」
「そうだ、水だ」
今度はそれであるというのだ。
「攻める氷だけでなく覆う水でもだ」
「私を弱らせていっているというのか」
「これならだ」
彼はまた言った。
「貴様も弱るな」
「考えたものだな」
神は一つに戻っていく。十あった身体がだ。それは力を維持できなくなったからに他ならなかった。それは二人にもわかった。
二人もだ。身体を一つに戻しつつ話すのだった。
「そこまで考えてか」
「勝利は何も手に入れなくともできるものではない」
彼は言った。
「考えて手に入れるものだ」
「力だけではなくか」
「そうだ、頭でもだ」
それでもだというのであった。
「手に入れるものだ」
「成程な。どうやら私は」
ここでまた言う死神だった。
「貴様等を侮っていたか」
「ではだ」
「決着の時だな」
「確かに私の力は衰えた」
神も認めたのだった。それはだ。
「しかし。それでもだ」
「退かないか」
「それは」
「そうだ、退くことはない」
断言さえしてみせる彼だった。
「絶対にだ。あくまで貴様等を倒す」
「ならばだ」
「行くぞ」
二人は神のその言葉を受けて身構えた。そうしてなのだった。
それぞれ突っ込む。正面からだった。
神も身構えその四本の手から剣と鞭を繰り出したのだった。
炎と二人が激突した。今度は衝撃と火花が散った。
そしてその後でだ。勝者は。
「ぐっ・・・・・・」
「勝ったな」
「これでな」
三者はそれぞれ言った。
「俺達の勝ちだ」
「それを認めるな」
「認めるしかあるまい」
これが神の言葉だった。身体から青と赤の炎を出しはじめていた。
「こうなってはな」
「危うい勝利だったがな」
ここで髑髏天使は言った。見ればだ。
右手の剣が神を突き刺していた。しかしその首に二本の鞭が今まさに打たんとしていたのだ。
死神も同じであった。鎌を突き刺している。しかしその腹に二本の剣が迫っていたのだ。
その危うい勝利の中でだ。彼等は言うのであった。
「だが勝利は勝利だ」
「こうして勝たせてもらった」
「そうだな、それではだ」
神は二色の炎に包まれながら言った。
「私はこれでだ」
「消えるか」
「もうか」
「そうだ、消える」
実際にそうするというのだった
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