空白期(無印〜A's)
第二十三話 後
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得なかった。
さて、しかし、どうしたものか? 生憎ながら、僕にお洒落の感性などは求めないで欲しい。着る洋服には、それなりにお洒落というものに気を使っていたが、どうも僕はアクセサリーなどに興味が持てず、適当に首からぶら下げている事がほとんどだったのだから。
三段ぐらいで並んでいるシルバーのアクセサリーの山を順番に見ていく。さすがに適当に選ぶわけはいかないだろう。しかし、いくら悩んでも僕の感性が成長するわけではない。ここは一つ覚悟を決めるしかないようだった。
ふむ、と一呼吸おいて、彼女達のイメージに合いそうなものを選ぶ。「それでいいのかい?」と店主のお兄さんが聞いてきたので、はい、と答えて財布から千円札を取り出し渡した。どうやら、小銭はおまけしてくれるらしい。
店主の兄ちゃんから受け取ったアクセサリーをそれぞれアリサちゃんとすずかちゃんに渡した。
アリサちゃんには太陽をあしらった様なアクセサリーを、すずかちゃんには三日月をあしらったようなアクセサリーだ。感性がない僕には彼女達の各々のイメージにあったものを選ぶしなかった。果たして僕の感性は正しかったのだろうか? と下手をしたら受験のときもドキドキしながら彼女達の反応を待つ。
「へ〜、いいんじゃない?」
「うん、いいと思うよ」
―――よかった。どうやら喜んでくれたようだ。
受け取ったアリサちゃんとすずかちゃんがアクセサリーを見て笑顔で受け取ってくれたことで、ようやく僕は安心してほっ、と息を吐く事ができたのだった。
ちなみに、そんな僕の様子を見ながら店主のお兄さんが苦笑していたことに僕はまったく気づくことはできなかった。
◇ ◇ ◇
満天の星空の向こう側に浮かぶ月を見上げながらふぅ、と息を吐く。この辺りは山奥で民家が少ないためか、星の数が海鳴よりも多く見え、夜空に浮かぶ月がいつもよりも輝いて見えた。
あのプレゼントの後、旅館へデビットさんたちを呼びに行き、僕たちは周ったお店の中で面白いものが売っていた場所をメインにして回った。僕たちのセンスがよかったのかどうかは分からないが、どうやらデビットさんたちは楽しんでくれたようだ。もっとも、デビットさんの場合は、少し顔が赤くお酒の匂いがしたから、少し酔っていたのかもしれないが。
その後は、浴衣を返し、お風呂に入って、晩御飯を食べて、また卓球をやって、お風呂に入った。まるで昨日の焼き直しのようである。いや、違うことといえば、最初のお風呂だけだろうが、しかしながら、思い出したくはない。あれは赤面ものだった。アリサちゃんたちも数年後に思い出せば、赤面ものだろう。その時、僕が責められても仕方ない。強引に誘ったのはアリサちゃんだからだ。しかし、今日も卓球をす
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