空白期(無印〜A's)
第二十三話 後
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れたことは僕にとってチャンスだった。
「ねえ、どれが好き?」
僕は、彼女たちと同じようにしゃがみこむとおもむろに切り出した。僕の言葉にアリサちゃんとすずかちゃんは、僕の突然の言葉にえ? というように驚きの表情を浮かべていた。
たぶん、そんな顔をするだろうな、と思っていた僕は、彼女達が僕の想像通りの表情を浮かべたものだから思わず苦笑して、もう一度同じ言葉を口にする。
「だから、どれが好き? プレゼントするよ」
そう、プレゼントだ。
アリサちゃんには今回の旅行について何かしらのお礼をしようと思っていた。確かにお金などを払っているのはデビットさんたちかもしれないが、そもそも、アリサちゃんが僕たちを誘ってくれなければ、実現しなかった旅行だ。アリサちゃんにお礼する意義は十分にあるだろう。
すずかちゃんは、日頃のお礼だ。僕では手の届かないハードカバーの本を借りているのだから。すずかちゃんは、自分も読む本だから、気にしなくても言いというかもしれないが、それでも、お礼をしたいという気は常にあった。
もっとも、僕には女の子に何をお礼としていいのか分からなかったから、今日まで延びてしまったが。だから、ここは都合のいい機会だったというわけだ。
「本当なのっ!?」
アリサちゃんとすずかちゃんの反応は本当に対照的だった。嬉しそうに喜ぶアリサちゃんに対して、申し訳なさそうながらも、少し嬉しさが見え隠れするすずかちゃん。
「うん、本当だよ」
どうやら、喜んでくれたようでよかった。僕が下手に何かを選ぶよりよかったのではないだろうか。後は、アリサちゃんたちが選んだものを買うだけだ、と安心していたのだが、そうは問屋はおろさなかった。
「でも、あたしたちが選んだのをショウがプレゼントするっておかしいわよね?」
「そういえば……」
安心していた僕に対して不意打ちを仕掛けるようにアリサちゃんがにぃ、と意地悪く笑う。まるで、僕が選ばずに済まそうと思っていたことを見透かしたように。なんとなく、嫌な予感がして、それを回避しようと口を開こうとしたのだが、時既に遅しだった。
「だから、ショウが選んでよ」
「僕が?」
うん、と笑顔で頷くアリサちゃん。
無理だ。僕に選ぶことなんてできるはずがないと、助け舟を求めるようにすずかちゃんに視線を移すが、彼女は、微笑んだまま首を軽く横に振って、僕の視線の意味を分かっていながら否定の意を示した。アリサちゃんが手加減してくれるはずもなく、すずかちゃんにも断わられた僕は、藁でも掴むように目の前の店主に懇願の視線を送ったのだが、目が「さっさと選んでやれ」と言っていた。参ったことに他に援軍はなく、四面楚歌の状況で、アリサちゃんからの提案を呑まざるを
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