空白期(無印〜A's)
第二十三話 後
[7/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んどであるが、こちらはお土産屋や昼食を食べる店がほとんどだった。雰囲気的には京都の清水寺の前の坂道にある土産屋のような雰囲気だ。もっとも、あそこほどゴチャゴチャしている訳ではないが。しかし、よくよく考えれば、旅館の中にも昼食を食べる店はあるが、高級旅館なだけあってそれなりの値段がする。ならば、外に安い外食店があってもなんら不思議でもない。
そんな温泉街を僕たちはパンフレットを片手に回っていた。温泉街には付き物の温泉饅頭を専門に扱っているお店。源泉の温泉を利用した温泉卵を売っているお店。温泉にはまったく関係ないだろう、といいたくなるようなお土産を売っているお店。そんなお店を冷やかしたり、時にはお土産を買ったり―――僕はアリシアちゃんとアルフさんへのお土産を忘れるわけにはいかなかった―――まるで、温泉街のお店をすべて制覇するような勢いでお店をはしごしていた。
適当なお店でお昼を済ませ―――特にこだわりはなく、手打ち蕎麦を食べた―――午前中の続きだ、といわんばかりにお店を回っていた僕たちだったが、もう少しで全部の店を回れるんじゃないか、といった直前でアリサちゃんが足を止めている。
どうしたんだろう?
顔を見合わせながら、すずかちゃんと一緒にアリサちゃんが足を止めている場所に行ってみると、そこで個人的に作っているのかわからないが、小さなシルバーアクセサリーを売っている行商の人が居た。路上に布を広げて飾っているアクセサリーは数は多く、その一つ一つが形が異なるが、精々ワンポイントにしかならない程度に飾りは小さい。もっとも、飾りが小さいだけに値段も手ごろで、一番大きなワンコイン程度の値段でしかない。
彼女達も幼くても女の子ということだろう。小さく輝くアクセサリーを前にして彼女達の目も輝いていた。しゃがみこんで一つ一つ眺めているアリサちゃん。その隣にはいつの間にか一緒にすずかちゃんもしゃがみこんでアクセサリーを見ていた。
「いらっしゃい。ゆっくり見て行ってくださいね」
僕たちが覗き込んでいることに気づいたのだろう。これを作ったであろうと思われる年の若い店主が僕たちを迎えてくれた。人の良さそうな顔であり、客商売には向いていると思われる。しかし、彼といえども僕たちにはあまり売るつもりはないようだ。僕たちが何かをしないように見ているだけで、商売のために声をかけるつもりはないようだ。
そもそも、この温泉街には僕たちのような子どもは珍しい。いや、いないこともないが、それでも親子連れであり、僕たちのように子どもだけというのは珍しい。だからだろう、彼が売るつもりがないのは。興味を持ってくれただけ御の字といった様子だった。微笑ましいものを見るような目でアリサちゃんたちの様子を見守っていた。
しかし、彼女達が興味を持ってく
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ