空白期(無印〜A's)
第二十三話 後
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ないつくりになっているようだった。
もっとも、女の子にはそんな理由はあまり関係なかったようで、飾られている色とりどりの浴衣に目を奪われたように、きゃいきゃい言いながら好みの浴衣を選んでいた。どうやら柄にも色々あるようだ。もしも、僕が女の子であれば、三人寄れば姦しいという状況を作っていたのだろうが、生憎ながら僕は男だった。だから、僕は手早く近くにあった黒い浴衣を選んで、さっさと着替えてしまった。
ちなみに、僕の浴衣というのは、下はズボンタイプで、腰紐で締めるタイプだったので特に着付けなど必要はなかった。
一方、女の子であるアリサちゃんとすずかちゃんは、やはりというか、時間がかかるものである。女の子の着替えに時間が必要なのは、年齢がいくつであっても変わらないようだ。現に僕は、更衣室に消えたアリサちゃんとすずかちゃんを着替え終わった後もぼ〜っ、と椅子に座って待っている。
それから、どれだけ待っただろうか。総じて楽しい時間というのは一瞬で、待つ時間は長く感じられるので正確な時間は分からない。だが、それでも一時間以上待ったということはないだろう。精々、十五分ぐらい。その程度待って、ようやく目の前の更衣室のカーテンが、シャーとレールを走る音と共に開かれた。
「どう……かな?」
最初に戸惑ったように姿を現したのは、すずかちゃんだった。彼女は、藍色を基調にして、薄紫色をした花をあしらった浴衣を着ていた。僕が雑誌などでよく見るような髪の毛をアップにした様子はなく、すずかちゃんの長い髪は流したままだ。
「うん、可愛いと思うよ」
本当に愛らしいと思う。もっとも、それは妹から感想を求められたときのような気持ちであり、恋愛漫画の中にあるような年頃の女の子が意中の男の子に尋ねられ、答えるようなものとは色が違う。まあ、僕の精神年齢を鑑みれば、当然のことではあるが。
そう、ありがとう、と少し照れながらも言うすずかちゃんに続いて、その隣の更衣室のカーテンがすずかちゃんの時と同じような音を立てて開いた。
「どうよっ!」
すずかちゃんの少し控えめな態度とは百八十度ぐらい違っていそうな態度で出てきたのは、アリサちゃんだ。彼女は、白を基調として薄桃色の花をあしらった浴衣に身を包んでいた。髪はやはりすずかちゃんと同じくアップにした様子はなく、流したままだ。
そういえば、前世の頃、縁日や花火大会などでどうして、女性は髪を上げるのだろうか? と疑問に思った事があったが、僕の友人曰く、うなじが色っぽいから、と答えていた。あの時は、なるほど、と納得してしまったが、今にして思えば、それは僕達の理由であり、彼女達の理由ではないのではないだろうか。
さて、そんなことはどうでもよくて、すずかちゃんと同じように感想を求めて
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