空白期(無印〜A's)
第二十三話 後
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ってみると、デビットさんと梓さんは顔を見合わせて、少し苦笑した後、確かに頷いてくれた。
僕が提案してからう〜ん、と唸っていたアリサちゃんだったが、ようやく決心したのか、顔を上げて口を開いた。
「仕方ないわねっ! ショウの言うとおりにするわ」
アリサちゃんが相変わらずな言い方で、僕の提案に乗ってくれた。これでデビットさんたちの休息時間を取ることもできるし、アリサちゃんの時間も取る事ができる。かなりベターな着地点ではないだろうかと思う。
さて、決まれば後は善は急げである。アリサちゃんの気が変わらないうちにさっさと外に出てしまったほうがいい。
「それじゃ、行こうか」
僕はアリサちゃんの肩を押しながら出口へと向かう。「ちょ、ちょっと! ショウ!?」なんてアリサちゃんが戸惑っているような気がするが、聞く耳を持たないといわないばかりに僕はアリサちゃんの戸惑ったような声を無視したままアリサちゃんの肩を押す。その様子を見て、すずかちゃんがクスクスと笑っているのに気づいたが、意識すると恥ずかしくなるので意図的に受け流した。
そして、僕とアリサちゃんとすずかちゃんは、いってきます、という声と共にデビットさんと梓さんがまだいる部屋から飛び出した。
◇ ◇ ◇
「なるほど、これがデビットさんたちが着替えなくていいといった理由か」
旅館の入り口で、僕は一人納得していた。
温泉旅館というだけあって、部屋着として温泉地特有の白と黒のストライプのような浴衣が用意されていた。やはり温泉といえば、浴衣だろう。旅館に来た直後に温泉に入ったものだから、僕達は基本的に浴衣で過ごしたことになる。しかし、さすがに外に出るのはこの格好は拙いだろう、と思って今朝、出かける前に着替えようと思ったのだが、それをデビットさんたちに止められたのだ。
その必要はないから、と。
確かに外には部屋着である浴衣で出歩いている人もいるが、さすがに浴衣では身動きが取りにくい。だから、着替えようと思ったのだが、執拗にそれを停められ、僕のほうから折れて、浴衣のままアリサちゃんたちと一緒に外に出ることにした。しかし、デビットさんたちが着替えなくてもいいという理由は、旅館から出る直前に分かった。
どうやら、この旅館では、部屋着とは別に外出用の浴衣の貸し出しもしているようだ。出る直前に仲居さんそれを言われて、僕はなるほど、と納得した。つまり、デビットさんたちはこのサービスを知っていたのだ、と。
浴衣など基本的には、縁日などの一日ぐらいしか着る機会はない。しかも、ゴールデンウィークのこの時期で、山奥にあるこの場所では多少肌寒いのでは? と考えたのだが、どうやら生地は分厚いものをつかっており、肌寒いとは感じ
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