空白期(無印〜A's)
第二十三話 後
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ば、アリサちゃんの提案はむしろ有り難かった。そもそも、この周辺は山ばかりで目立ったレジャー施設もなさそうだ。それは、この温泉からの風景を守るためなのか、あるいは単純に採算を見込めないからなのかは分からない。
それはともかく、今はアリサちゃんが了解を取れた僕達とは他にデビットさんと梓さんも一緒に連れ出そうと画策していたところだったが、それは不発に終わったようだ。アリサちゃんの要請に笑いながら僕達だけで行ってくれ、というデビットさん。梓さんもデビットさんの意見に賛成なのか、同じように笑いながらアリサちゃんを見ていた。しかし、アリサちゃんとしては、デビットさんと梓さんの返事が気に入らないのだろう、頬を含まらせて不満を表していた。
僕としてはデビットさんたちの気持ちは分かる。彼らがここに来た理由は、休暇のためだ。決して疲れるためではない。日本人としては休暇に観光をぎっちり詰め込んで休暇なのか、疲れにきたのか分からないスケジュールを組むが、今回の場所が温泉地であることを考えても目的は、休むことなのだ。
そんな日を子どもに付き合って、疲れたくないと考えるのも仕方ないことだろう。これが、もしもアリサちゃんだけならば、デビットさんたちも付き合ったのかもしれないが、今日は僕とすずかちゃんがいる。時間もお昼だし、場所は観光地。危険は少ないと考えてもいいだろう。もしかしたら、このために僕達を誘ったのかもしれない、と思わず邪推してしまう。
もっとも、目的がそれであっても、僕としては連れてきてもらっているのだから文句は言えない。
さて、アリサちゃんも、子どものように―――彼女は子どもであるが、「とにかく、行くのっ!」と理由にならない理由をつけながら、デビットさんと梓さんをひっぱて行きそうだったので、僕はアリサちゃんに近づくと怒っているような、懇願しているようなアリサちゃんの肩を叩いて言う。
「アリサちゃん、とりあえず、僕達だけで行こうよ」
ね? と遊びにでも誘うような口調で言う。僕が提案した後、少しだけう〜ん、と悩む。どうやら脈はありそうだ。そう思ったのだが、やや心残りがあるように、でも……と呟くアリサちゃん。彼女がそんな反応をするかもしれないことは既に織り込み済みであり、だったら、と僕は妥協案を挙げた。
「最初に僕達だけで、行って、夕方ぐらいからデビットさんたちと行くのはどう?」
デビットさんたちの予定を勝手に決めてしまうのは心苦しいが、それでも、朝からつき合わされるよりも十分に休めるはずだ。それにせっかくの家族旅行に家族の時間がないのは、アリサちゃんからしてみても不憫だと思うからだ。だから、少しの時間だけでもいいからアリサちゃんとデビットさん達の時間を確保したかった。
それでいいですよね? と僕が視線を送
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