第四十八話 妖神その十八
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彼もまた増えた。十人になったのだった。そのそれぞれの口での言葉だった。
「ではだ」
「これで貴様も終わりだ」
「十人の俺が相手ならだ」
「勝てるのか」
「結論から言おう」
神は彼等に冷静に返してみせた。左右に展開する彼らを見てはいない。正面を向いたままでのその言葉なのだった。
「勝てる」
「それでもか」
「勝てるというのか」
「如何にも」
その通りだというのであった。
「それならば私もだ」
「まさかと思うが」
「増えるか」
二人はすぐにこのことを察した。
「そうするか」
「貴様もまた」
「それができるか」
「そうだ、できる」
こう二人に答える神だった。
「それも見せよう」
「炎が分かれるか」
「それによってか」
「そういうことだ。そしてだ」
神の言葉は続く。
「それにより貴様等を倒す」
「炎で全てを焼き尽くす」
「そうしてやろう」
「炎か」
髑髏天使は神の今の言葉にふと耳を止めた。
「そういえばそうだったな」
「何が言いたい」
「貴様は紛れもなく炎だな」
「如何にも」
神もそれを否定しない。
「見ての通りだ」
「炎の化身だな」
「だとしたらどうだというのだ」
「一つ言っておく」
髑髏天使は前置きしてみせた。本題を言う前にだ。
「弱点のないものはない」
「神にそんなものはないが」
「いや、神であろうともだ」
髑髏天使は神のその言葉を否定してみせたのだった。
「それがないものはいないのだ」
「戯言だな」
「そう思うのなら思うがいい」
「そう言うのか」
「そうだ、貴様がそう思おうとだ」
どうかというのであった。
「事実は変わらない」
「ではその事実をか」
「今から見せよう。いいな」
「では見せてもらおう」
神もそれを受けて言い返す。
「それを今からな」
「火には絶対に勝てないものが一つある」
「絶対の存在である火がか」
「そうだ、ある」
こう神に告げるのであった。
「それが何かだ」
「成程な」
髑髏天使の今の言葉を聞きだった。死神が言うのだった。
「そういうことか」
「わかったようだな」
死神はだというのだった。
「わかった」
「そうだな。そしてそれは」
「水だ」
髑髏天使の今の言葉は一言だった。
「それだ」
「水か」
だがそれを聞いてもだった。神の余裕は変わらない。
「それだというのか」
「その通りだ。貴様もそれは変わらない」
「では見せてみるといい」
またこう言ってみせる神だった。
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