暁 〜小説投稿サイト〜
髑髏天使
第四十八話 妖神その十八

[8]前話 [2]次話

 彼もまた増えた。十人になったのだった。そのそれぞれの口での言葉だった。
「ではだ」
「これで貴様も終わりだ」
「十人の俺が相手ならだ」
「勝てるのか」
「結論から言おう」
 神は彼等に冷静に返してみせた。左右に展開する彼らを見てはいない。正面を向いたままでのその言葉なのだった。
「勝てる」
「それでもか」
「勝てるというのか」
「如何にも」
 その通りだというのであった。
「それならば私もだ」
「まさかと思うが」
「増えるか」
 二人はすぐにこのことを察した。
「そうするか」
「貴様もまた」
「それができるか」
「そうだ、できる」
 こう二人に答える神だった。
「それも見せよう」
「炎が分かれるか」
「それによってか」
「そういうことだ。そしてだ」
 神の言葉は続く。
「それにより貴様等を倒す」
「炎で全てを焼き尽くす」
「そうしてやろう」
「炎か」
 髑髏天使は神の今の言葉にふと耳を止めた。
「そういえばそうだったな」
「何が言いたい」
「貴様は紛れもなく炎だな」
「如何にも」
 神もそれを否定しない。
「見ての通りだ」
「炎の化身だな」
「だとしたらどうだというのだ」
「一つ言っておく」
 髑髏天使は前置きしてみせた。本題を言う前にだ。
「弱点のないものはない」
「神にそんなものはないが」
「いや、神であろうともだ」
 髑髏天使は神のその言葉を否定してみせたのだった。
「それがないものはいないのだ」
「戯言だな」
「そう思うのなら思うがいい」
「そう言うのか」
「そうだ、貴様がそう思おうとだ」
 どうかというのであった。
「事実は変わらない」
「ではその事実をか」
「今から見せよう。いいな」
「では見せてもらおう」
 神もそれを受けて言い返す。
「それを今からな」
「火には絶対に勝てないものが一つある」
「絶対の存在である火がか」
「そうだ、ある」
 こう神に告げるのであった。
「それが何かだ」
「成程な」
 髑髏天使の今の言葉を聞きだった。死神が言うのだった。
「そういうことか」
「わかったようだな」
 死神はだというのだった。
「わかった」
「そうだな。そしてそれは」
「水だ」
 髑髏天使の今の言葉は一言だった。
「それだ」
「水か」
 だがそれを聞いてもだった。神の余裕は変わらない。
「それだというのか」
「その通りだ。貴様もそれは変わらない」
「では見せてみるといい」
 またこう言ってみせる神だった。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ