空白期(無印〜A's)
第二十三話 前
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色濃くでてしまった。そのことで苦労をかけることも多くてね」
確かにアリサちゃんの容姿は、デビットさんの血を色濃く継いでいるといってもいいだろう。輝くような金髪と白い肌は、大半が黒髪、黄色人種の日本人とはかなり異なる。アリサちゃんの存在は、真っ白なキャンパスに落とされた一滴の色の異なる雫のようなものだ。いわゆる異色の存在。もっとも、外国人の容姿をしていることなんて、年齢が重なれば、あるいは、中学生や高校生になれば、まったく関係がなくなるかもしれない。しかし、子ども時代にはやや不利な側面があるだろう。他と異なるということは、容易にいじめの標的になるのだから。そこまではいかなくても排他的にはなってしまうかもしれない。デビットさんの言うことは、おそらくそういうことなのだろう。
「聖祥に入学したときも心配で、毎日夕食のときに聞いてみたものだが、数日は不機嫌そうにするだけだったが、ある日、すずかちゃんの話が出てきてね、その後は君の話も出てくるようになった。親としては君達のような子がいて安心したわけだよ」
「僕とアリサちゃんが友達になったのは偶然ですよ」
そう、偶然だ。僕が、『とらいあんぐるハート』というゲームの中で彼女の容姿によく似た子が陵辱されていたシーンを覚えており、一人にするのが拙いと思って、目をかけていたに過ぎない。もし、僕があのときに思い出していなかったら、きっと彼女に目をかけることはなく、あのすずかちゃんとアリサちゃんの諍いに割っては入れたとは思わない。
もしかしたら、僕が手を出さなくても彼女達は、友達になれたかもしれない。今となっては、あの時僕が手を出さなかったらどうなっていたか、それは分からない。僕には確認する術はない。
「だが、君とアリサの出会いが偶然としても、それが現実だよ」
そう、今が現実なのだ。僕とアリサちゃんが友達なのは変わりない。あの時、目をかけていなかったら、割って入らなければ、という『たられば』を論じたところで意味のないことだ。過去を変えることは誰にもできないのだから。
「だから、親としては、これからもあの子をよろしく、というべきだな」
「いえ、こちらこそ、色々お世話になっていますからね。僕もアリサちゃんに飽きられないようによろしくお願いしますね」
友人とは一方通行の関係ではないのだ。お互いに持ちつ持たれつの関係なのだ。だからこそ、一方的な感謝は成り立つべきではないし、一方的なお願いが成り立つべきではない。だから、僕は悪戯を楽しむ子どものように笑みを浮かべてデビットさんに言うのだ。
僕の言葉に一瞬、豆鉄砲を食らったように呆然としていたデビットさんだったが、意味を理解したのか、急に笑い始めた。そして、ひとしきり笑った後、目尻に溜まった雫を拭うを笑みを崩さずに口を開
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