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SAO─戦士達の物語
ALO編
五十九話 ただいま
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常に色の濃い黒髪で、むしろ紺色っぽくすら見える。眉ははっきりとして居て、その下の瞳は強い意志力を感じさせる光を湛えているが、今は見開かれたまま揺れている。
服装は何処かの学校の制服で、白いセーターが暖かそうだ。

「ぁ…………」
 部屋のドアを開けた少女は、驚きと共に困惑した様な表情を浮かべ、そのまま固まってしまう。しばし無音の空気が流れる中、先にフリーズから回復したのは和人とりょうの方だった。

「……スグ」
「……よっ」
 和人は久々に見る妹の姿に、目に涙を溜め、リョウは普段通りのニヤリとした笑いを浮かべて、上手く上がらない手を軽く上げる。
その姿を見た瞬間、和人の妹であり、りょうの従妹でもある少女……桐ヶ谷直葉の眼に一気に涙が溜まり……

「おにぃ……ちゃ……!!」
 そのまま一気に、ベットに座ったキリトに抱きついた。

「スグ……!」
「お、にぃ……うぁ、うあああああああああああっっっ!!!」
 跳び込んで来たスグに勢いよく抱きつかれたおかげで一瞬苦しげに顔を歪めた和人だったが、そのまま自分の腕の中で恥も外聞も無く泣きじゃくる直葉の頭を碌に動かないだろう腕を酷使して何とか抱きしめる。

「おっ、いいシーンだねぇ……」
 そんな光景を見ながら、りょうはしみじみと小さな声で呟く。
妹と兄の感動の再会だ。邪魔するのは野暮と言うものだろう。そんな所に……

「和人……りょう君……!」
「母……さん」
「……お久しぶりです。翠叔母さん」
 もう一人女性が表れた。和人の母、桐ヶ谷翠である。
先程の直葉と同じくフリーズしたように立ちつくす翠に、リョウとキリトは笑いながら、何時か二人で絶対に言うと決めて居た言葉を放つ。

「「ただいま」」
「…………!」
「おかえり……なさい……!」
 桐ヶ谷和人。そして、桐ヶ谷涼人(きりがやりょうと)が、SAOから生還した瞬間だった。

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