ALO編
五十九話 ただいま
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……」
ベットにもたれかかり、上体を起こした姿勢のまま、りょうは考える。改めて周りを見渡してみると、視界の殆どがカーテンで、精々右手に点滴が有るくらいだ。
試しに、掛け布団の中で足をパタパタと動かしてみるが……
「おっも……」
掛け布団どころか自分の足が重く碌に動かす事が出来ずにすぐ足が疲れてしまった。
恐らく結構な時間がかかるであろうこれからのリハビリ云々の事を考えてりょうは辟易とする。病院が嫌いなわけではないが、動きを制限されるのは精神的に嫌だ。
「あ、あの」
そんな事を考えて居たら、左から声が飛んできた。少年の様な……というか恐らく少年であろう高い声だ。というか……
「なに改まってんだ?今更俺に敬語とかなんか悪いもん食った?」
「こんのクソ兄貴……」
どう聞いてもその声はキリトだった。試しに毒を吐いてみると、案の定呆れたような、諦めた様な声が返って来る。
「こっちは死んだと思って…………あー、すげぇ損した気分」
「あぁ、そう言う事か。はは、すまんすまん」
確かに、自分はあの時ヒースクリフと完全に相討ちになったのだ。傍から見れば、自分は命と引き換えにあの世界を終わらせたように見えただろうことに今更気が付き謝罪する。取りあえずカーテン越しで顔が見えないまましゃべるのはあれなので、看護婦さんに教えてもらった手元のボタンを操作し、カーテンを開く。
「カーテンも自動か……」
「正直身体がまともなら必要かと思うとこだが……成程便利なもんだな」
カーテンが開き隣のベットがあらわになる。
自分と同じく、背もたれを起こして座っている少年が居た。正直な所、二年もの間点滴等による栄養補給しかしていなかった為に余りにも痩せこけて居て、見慣れた顔とは言い難かったが、それでもその顔は間違いなくりょうの従兄弟にして義兄弟、キリトであり、桐ヶ谷和人のそれだった。恐らく自分の顔も、今朝までとは大きく違って見えるのだろう。
「おはよう」
「あぁ。おはようさん」
お互いの無事な姿に、自然と笑顔がこぼれた。
────
その後、何やら本当に公務員なのかと疑いたくなるような役人がやって来た。
突如プレイヤーたちが目覚めた事に付いてプレイヤーデータから上位プレイヤーとばれて居たりょう達を急襲して来たらしく、色々と聞かれた。
代わりに情報を聞き出した後、その男が看護婦さんに叩きだされ、りょうと和人はようやく落ち着く事が出来た。
「ったくよぉ……なんだありゃ?」
「俺に聞くなよ……けど色々と聞き出せそうだ。多分、知り合って置いて悪い事は無かったよ」
「はぁ……だといいが……」
そんな会話をしながら、りょうは色々な事を散々聞いてきた役人……菊岡と名乗った男の事を思い出す。
何と言うか……役人に
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