第四十八話 妖神その三
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そして魔神達はその世の中を知りだ。そこに入ろうとしているのである。
やはり特にだった。子供がなのだった。
「昨日は幼稚園で遊んでね」
「何をしたのじゃ?」
「ブランコをやったんだ」
それで遊んだというのだ。
「人間の子供達とね」
「人間とか」
「いや、人間の子供達も面白いね」
笑顔で話す子供だった。
「明るくて。色々な子がいてね」
「よいか」
「うん、とってもいいよ」
そうだというのだった。
「やっぱり子供っていいよね、本当に」
「それは何よりじゃな」
「そうだよね。戦いよりも楽しいことが一杯ある」
子供は楽しそうに話す。
「いやあ、それがわかったよ」
「ではわしはじゃ」
老婆もここで話すのだった。
「これから雀荘に行ってじゃ」
「麻雀だね」
「あれはよいぞ」
彼女にしても実に楽しそうな笑みである。
「やればやる程儲かるからのう」
「バーバヤーガはそっちなんだね」
「駆け引きが面白いのじゃ」
そこに楽しみを見ているのだった。
「それでじゃよ」
「これからはそっちだね」
「うむ、楽しんでくる」
「じゃあ僕は今日は」
そして子供も言う。
「これから公園に行こうかな」
「俺も行こう」
青年も出て来た。
「公園にな」
「バジリスクはどうして行くの?」
「花を見る」
彼の目的はそれだった。
「行くのは駅前の公園だな」
「うん、そうだよ」
「あの公園のチューリップは実にいい」
「それを見るんだ」
「俺があの頃知っていたどの花よりもいい」
言葉にいとしげなものまで入っていた。
「だからこそだ」
「わかったよ。じゃあ一緒にね」
「行こうか」
「うん、行こう」
こんな話をしてだった。彼等は公園に向かった。しかしであった。
その公園にだった。牧村がいたのだ。博士や妖怪達も一緒だった。
完全に鉢合わせだった。まずは妖怪達が言った。
「まさかとは思うけれど」
「やるつもり?」
「それで来たとか?」
「ここに」
その子供と青年を見ての言葉である。
「この公園で戦うっていうの?」
「随分洒落た場所を選んだね」
「ああ、それはね」
子供がその彼等の言葉に応えた。
「ないから。安心してよ」
「戦わないっていうの?」
「魔物の上に立つ魔神が?」
「そんなこと言ってもね」
「そうだよね」
彼等は明らかに子供の言葉を信じていなかった。しかしであった。
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