第四十八話 妖神その二
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その中でだ。そうした餓鬼は最低のものだというのだ。
「何も食えず何も飲めず常に苦しみじゃ」
「辛いね、それって」
「そして常に炎や氷に苦しめられる」
「そっちもあるんだ」
「とにかく苦しめられ続けるのじゃ」
それが永遠だというのだ。
「外道はそうなるのじゃ」
「ううん、厳しいね」
「それだけ外道になるということはじゃ」
「腐ったことなんだね」
「腐ればその報いがある」
老婆は言った。
「そういうことじゃよ」
「じゃあさ」
子供はここで老婆に質問した。
「一つ聞きたいんだけれど」
「何じゃ?」
「僕達もそうなるのかな」
「外道にじゃな」
「やっぱりなるのかな。腐れば」
「そうじゃな。結論から言えばじゃ」
老婆は一呼吸置いてから子供の言葉に答えた。
「なる」
「腐ればなるんだね」
「今まで外道になった神はないがな」
「それでもなるんだね」
「そうじゃ」
その通りだというのである。
「だから気をつけることじゃ」
「わかったよ。じゃあね」
子供は老婆のその言葉に頷く。そうしてだった。
そのうえでだ。老婆に対して話すのだった。
「僕は魔神のままでいるよ」
「魔神であるにはじゃ」
「戦いを忘れないんじゃね」
「そういうことじゃ。わかっておいて欲しいな」
「わかったよ。戦いだね」
「ただ。最近のう」
今度は老婆が考える顔になった。そうして言うのだった。
「どうも戦いよりな」
「遊びだね」
「そちらの方に関心がいっておらぬか」
「そうだね。それはね」
子供も言われて気付いた。そしてそれはだ。
他の魔神達もだった。彼等もどうかというとだ。
「食べて飲む」
「そして映画館やテーマパークに行く」
「そうしてだ」
魔神達はそれぞれ話していく。
「それを楽しむ」
「どうも最近は戦いよりもだ」
「そちらの方が楽しくなってきたな」
「そうだな」
「本当にな」
「特に僕がそうだね」
子供は自分のことを話した。そうしてであった。
考える顔になってだ。さらに話す彼だった。
「何か最近本当にね」
「遊びが楽しくて仕方ないのじゃな」
「今の世の中ってさ」
彼等が今いるその日本のことである。
「あれじゃない?物凄く楽しいことが一杯あるじゃない」
「確かにな。目に入るもの全てがだ」
「我々を楽しませてくれるわ」
「何時までも遊ぶことができる」
「何処でもな」
「いい世界だ」
「我等のいた頃とは全く違っている」
世の中が変わり文明が進歩した結果だった。そうなったのである。
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