第四十七話 神々その十三
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「だから絶対によ」
「それから運動だな」
「そして一日の最後にね」
こうも話すのだった。
「絶対に忘れないでね」
「わかっている。それはな」
「怪我、これが一番怖いから」
「怪我をすれば元も子もないか」
「そうよ。スポーツと怪我は切っても切れないけれど」
それもわかったうえでだ。若奈は厳しく話しているのである。
その厳しい声でだ。さらに話す。
「いい?怠けるのは一瞬で」
「怪我は永遠だな」
「だから。忘れないでね」
「ああ、わかっている」
牧村も確かな顔で頷き返す。
「それはな」
「そういうことよ。それで」
若奈はここで話を変えてきた。
「今度ね」
「今度。何だ」
「お父さんとお母さんが新しいメニューを考えてるのよ」
「マジックのことか」
「そう、それ」
まさにそれだというのだ。
「そのことでね。考えてるのよ」
「具体的にはどんなメニューなのかだが」
「クレープよ」
まずは一言だった。
「それ、考えてるのよ」
「クレープか」
「私が試食することになってるけれど」
「俺もか」
「そう、店に入るじゃない」
何故かだった。若奈の中ではそれは規定路線になっていたのだった。
「だったら余計にね」
「店の味を知る為にもか」
「御願いね」
微笑んでの言葉だった。
「そっちもね」
「わかった」
牧村は素っ気無く言葉を返した。
「それではな」
「クレープの中はバナナとね」
「それとか」
「アイスクリームなのよ」
そういたものだというのである。
「ただ。バナナは焼いて」
「焼いてか」
「アイスもお豆腐のアイスなのよ」
「それは合うのか」
「どうかしら」
首を傾げさせての今の若奈の返答だった。
「それはね」
「わからないか」
「はじめてのお菓子だし」
だからだというのである。
「それはね」
「まだわからないか」
「要は食べてから」
「ギャンブルだな」
「そう、本当に一か八かのね」
「食べるのには勇気がいるな」
「けれどよ」
それでもだとだ。若奈はここでも言うのだった。
「それでもね。苺大福だって」
「あれはな。確かにな」
「普通考えないわよね、ああいうの」
「しかし美味い」
「不思議と合うからね」
「とにかくやることか」
「そう、何でもやってみるの」
こう話すのだった。
「何をどうやったら美味しいものができるかっていうのは本当にわからないじゃない」
「それでその料理もか」
「やってみるってこと」
「話はわかった」
牧村はここまで聞いて納得したのだった。
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