SAO編
五十七話 矛と盾
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スキルは、それが全て《足》を使うがゆえに短いスキル硬直が終了した後も振り上げたりした足を下ろすと言うワンステップが次の動作までの間にどうしても入り込む。
対し、《大震脚》は元々足を地面に打ち付けるスキルであるため、そのワンステップが存在しない。
そして本来ならばそれほどの問題では無いその違いが、今は大きな意味を持つ。なぜなら足が付いていると言う事は……即座にステップ動作が取れると言う事だから。
システムに従い、リョウが冷裂を振り下ろす。ヒースクリフが自分の視界の中で右に飛び退く。何も無い場所に冷裂が打ち付けられる。
この瞬間、今度こそリョウに完全にして致命的な隙が生まれた。
横に目を向ければ、ヒースクリフが剣を勝ち誇るように振り上げて居るのが見える。
その剣が、純白の神々しくそれゆえに何処か恐ろしい光を纏う。
神聖剣 単発技 ヘヴンス・ゲート
身を躱す……自分は剛断による硬直時間で現在動けない。剛断の硬直は振り下ろしが始まった辺りで切れるが間に合わない。通常回避不可。
武器防御……同様の理由により武器を動かせない。防御不可。
足技を使用してスキル割り込み……大震脚では動くより前に剣が振り下ろされる。回避不可。
真横に向かって放てる足技……該当する技が数個有り、ただしどれも十字盾を少し動かしただけで防御可能、敵の技を止められない。回避不可。
対応手段……無し。
『ア、やべ……詰んだ』
その瞬間、リョウコウの“集中”が完全に途切れた。
────
戦闘の勝利が不可能になり、これ以上戦闘を続ける意思が途切れた。
それに伴って、今まで彼の戦闘状態を保っていた“集中”も切れる。
そして元に戻ってしまえば……
『あっちゃあ……見事にハマっちまったな』
“何時も通り”まるで人事の様にこんな事を考えてしまう。
ほんの短い時間のはずなのだが、未だに戦闘時の思考の加速が残っているらしく、時間がやけに遅く感じる。
『最後の最後でフェイント掛るとか……締まんねぇなぁ……』
全く、キリトやアスナにかっこつけてまで始めた死合でこれだ。一体何をやっているのやら……無様なものである。
しかし今更言った所でどうこう成る物でも無し……
『まぁ、しゃあねぇわな』
諦めよう。そうリョウは結論を出す。
これ以上は何やったって無駄と言うか……そもそもこのタイミングでは出来る事が無い。
まぁ、自分の事だし、今になって悪あがきするのも無様だろう。と言うか悪あがきすら出来ないし。
少々無責任だろうが、ここらで後はキリトに任せて自分は退場だ。
ヒースクリフの掲げた腕が、視界の端で止まった。時間だ。
感覚的にはゆっくりと、リョウは目を閉じる。
なんだかんだで、最後の時が
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