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SAO─戦士達の物語
SAO編
五十七話 矛と盾
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も無く、リョウは既に対策に出て居た。右足に体重を掛け、左足を、胸のあたりまで振り上げたのである。銀色のライトエフェクトと共に。

足技 単発技 月波《げっぱ》

 通常は、正面の敵の胸から顎にかけてを蹴り上げるための業だが、リョウはそれをあえて此処で使う。そうして振り上げられた左足は……ガキンッ!と言う鈍い音と共に、ヒースクリフの剣を見事に弾き上げた。

「…………!」
 振り上げられた足が、突き込んで来るヒースクリフの十字剣の腹部分を直撃し、剣を弾き上げたのである。当然、ソードスキルに生身である足で触れれば余波によるダメージがあるが、使われたのが《足技》で有るならばそれほど大きなダメージにはならない。結果として、リョウコウは左足を振り上げた体勢のまま一瞬だけ硬直し……ヒースクリフには、剣を跳ね上げられた体勢になってしまうせいで大きな隙が生まれる上、ソードスキル後であるため、それによる硬直時間も課されてしまう。
その隙をリョウが逃す訳は無かった。

 振り上げられた左足を思い切り振り下ろし……がら空きになったヒースクリフの左側に、大きく踏み込む。両腕は振り上げられ、そこには、先程と同じく真っ赤なライトエフェクトを纏った青龍偃月刀。

「…………ワレロ」

薙刀 重単発技 剛断

──────

 この瞬間、リョウコウの勝利は確定したと、それを見て居た全てのプレイヤーは思っただろう。


──偶然にも一人だけヒースクリフの表情が見える位置に倒れて居たキリトと、踏み込んだ事によってそれを見たリョウコウを除けば。

「……!?」
「兄貴!待てっ!」
 ヒースクリフは、笑みを浮かべていた。それも歓喜に満ちた光を瞳に湛え、まるで勝利を確信したかのような笑みを。
そしてその時、リョウコウは初めてそれに気が付く。ヒースクリフの右足が、少しばかり宙に浮いているのだ。
“土色”のライトエフェクトと共に。

 この時リョウが犯したミスは二つ。
一つは、直前までヒースクリフ一連のミスを本当のミスだと思いこんでしまっていた事。
そしてもう一つは──選んだ技が、ソードスキルだった事。

 その足が、一息に、振り下ろされた。

足技 範囲妨害技 大震脚

 地面がすさまじい勢いで揺れ、周囲のプレイヤーたちが悲鳴を上げる。しかし始めから地面に転がっている以上彼らに全くダメージは無い。またリョウコウも、《大震脚》の抜け道の一つである、「装備の総重量が一定以上に達している」と言う条件を冷裂によって満たしているため、転倒する事は無い。だが、問題はそこでは無いのだ。
 元々、《足技》を多用するリョウは良く分かっていた。大震脚の妨害以外に存在するもう一つの大きな特徴。即ち、地面に足が付いたままであると言う事。
通常足技の
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