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SAO─戦士達の物語
SAO編
五十七話 矛と盾
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まう生き物だ。そしてヒースクリフと言うキャラクターは、このSAOと言う世界の中で既に確定された役割を持っている。即ち──最強。
 誰にも敗北する事無く、どんな強大なボスにも打ち破られる事のない無敵にして無敗の聖騎士。それこそがヒースクリフと言う名のキャラクターに与えられた配役で有り、そしてシナリオ通り、ヒースクリフは全てのプレイヤーの頂点に立ち、最強と呼ばれ続けて来た。
故に、ヒースクリフにイメージで勝つことは難しい。

 全てのプレイヤーが、彼を“最強”と呼び、そして尊敬と一種の畏怖を抱いているのだ。当然殆どの人間は、より多くの人間の意見に自覚は無くとも少なからず影響を受ける。「自分は間違ってはいないか?」「他の全てが逆の事を言っているにも関わらず、それに逆らう自分はおかしいのではないか?」そう言った感情を持つ。自分を疑う。
恐らくこの場に居たリョウコウ以外の全てのプレイヤーが、「ヒースクリフを吹き飛ばす」等と言う現象は、想像もしていなかっただろう。

 それは全てのプレイヤーがヒースクリフを最強と述べる限り起こるはずであった必然で有り、ヒースクリフ自身、それを疑う事は無かった。しかし、この男はそれをやってのけた。

『誰にも影響される事無く、自らを保つ強さ……成程』
 精神力の……心の強さ。
見せつけられたそれは、恐らく、SAOでも最高峰の物。此処に来て、自分が眼前の青年の強さを測り切れていなかった事を悟りつつ、ノックバックの隙を逃さず青龍偃月刀を振り上げ突進して来たリョウコウに、ヒースクリフは再び盾を構える。
二発目は、少々大振りな赤いライトエフェクトを纏った振り下ろし。

薙刀 重単発技 剛断

 タイミング的にも体勢的にも回避は不可能な、受ける以外の選択肢が無い一撃。

「…………」
『手強い……』
 感情も思いも読み取れぬ、唯此方を見据えるだけの眼と視線を合わせつつ受けた一撃は、ヒースクリフの身体を再び地面を滑らせながら後退させた。

────

 闘いは、初手を覗いては互角に進んだ。
初めこそ意識の不意を突かれたヒースクリフだったが、決して彼はやられるままになりはしない。
 三発目以降の攻撃は、巧みに十字盾の角度をずらし、あらゆる角度から打ちこまれる《冷裂》の攻撃の威力を、逸らそうとし出したのだ。
 SAOの物理エンジンと言うのは実に優秀な物で、以前のバックステップの様に、こう言った行為も十分に衝撃を叩きだす計算式に配慮してくれる。その結果、基本的にはヒースクリフの盾を“抜けた”ダメージはゼロ。時偶受け損ね、正面になってしまった時のみ幾らかのダメージが入り、稀には逸らし切られてリョウの方に若干の隙が出来ると言う結果になってしまった。

 ちなみに当然、ヒースクリフがそんな隙を逃す訳も無い
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