SAO編
五十七話 矛と盾
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ものだが、この半チート気味なステータスを持つヒースクリフはそれを看破。二刀流の速度に追い付いてこれるタワーシールドなど、通常の1対1のPvPで突破出来る者など居ないだろう。
まさしく鉄壁。
単純な要素であるが故に、破る事が非常に難しい二つの要素が、ヒースクリフの“最強”を支えて来たのだ。
──しかし世の出来事においては、完全に見える出来事に意外な“例外”が起こる時も、また確かに存在する。
ヒースクリフに向かって接近したリョウは、初手としてすくい上げるような下からの斬撃を選んだ。
間合いの広い薙刀であれば、あくまでも身体に密接しなければ反撃出来ない盾の一撃を受ける心配は少ない。当然、ヒースクリフは反撃出来ない間合いに居るリョウの一撃を自慢の盾で受け止める……が。
「「「!?」」」
「…………」
「ぬ……」
冷裂が十字盾に直撃した瞬間、ヒースクリフの身体が“浮いた”。
空中に浮き、後方に向かって吹き飛ばされる。
SAOで盾を構えた敵の身体を吹き飛ばすと言うのは、並の事ではない。
何故ならそれには、相手の持つ武器、防具全てを含めた総重量に加え、耐えようとする相手の筋力値も含めてその全てを数値上で圧倒する筋力値が必要になるからだ。
先程の《The Skullreaper》ですら、最後までヒースクリフを多少後退させるに留まった事を考えれば、それが可能なリョウの最大筋力値は、最早化け物《モンスター》をとすら言えた。
30センチ近く空中に浮いたヒースクリフの身体は、そのまま後方へと吹き飛ばされ……少々危うい体制で着地する。
「…………」
「…………」
互いに無言ではあるものの、ヒースクリフは内心リョウコウの持つ予測外の破壊力に舌を巻いていた。
SAOでは、ある一定以上の力を出そうとする時、必ず、壁に当たる。
例えばどれだけ敏捷値が高くとも、使い手であるプレイヤーの脳の反応速度がそれに追い付けなければ一定以上身体の動きが速くなる事は無いように、筋力値にも使い手による限界……壁を決める要素があるのだ。
即ち、想像力《イメージ》。
自分が何処まで筋力を出すことが出来るのか、どれだけの事ならば可能なのか。それらの可能性イメージし切る事。言い換えるならば、己の力量を把握し疑わない事こそが、SAOにおいてプレイヤーが最大限の筋力値を使用する為に必要な壁を打ち破る鍵だ。
もし自身が、それを出来る事を疑わず、なおかつ数値がその条件を満たしていさえすれば、プレイヤーはアインクラッドその物を持ち上げる事すら出来る。……理論上は。
つまり……
『彼は私を吹き飛ばせる自分を疑っていなかったと言うことか……』
簡単……ではない。
人間は基本的に、よくも悪くも周りに流されてし
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