第四十七話 神々その八
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「それはない」
「本能故か」
「本能のまま戦う」
既に妖魔の習性は把握していた。だからこそ言えたのだ。
「だから調べることはじゃ」
「それはないか」
「まずない。それは安心することじゃ」
「わかった」
牧村は博士のその言葉に頷いた。そしてだ。
そのうえでだ。落ち着いた声で述べたのだった。
「その時になるまでどの妖魔と戦うのかもわからないしな」
「魔物の時とそれは同じじゃな」
「しかし妖魔の習性は把握した」
それはだというのだ。
「本能が異様なまでに強いか」
「そういうことじゃ」
「それはわかった」
博士の言葉に頷いてみせた。
「ではそれを把握してだ」
「戦うとよいぞ」
「またすぐに戦いになるしな」
「どうやらその戦いも核心に近付いているな」
博士はここでこんなことも言った。
「少しずつだがな」
「少しずつでもか」
「近付いている」
そうだというのである。
「そうなっているぞ」
「そうか」
「そして神々じゃが」
博士はこの存在も話に出してきた。
「妖魔の神々じゃが」
「魔神達とは明らかに違うな」
「破壊と混沌の存在だからのう」
「全く別だな」
「何もかもがそうじゃな」
そうだというのだった。
「やはり妖魔だからじゃ」
「それでか」
「それでじゃ。その混沌の渦の中の中心にいる」
「その神々を倒せばだな」
「妖魔との戦いは終わりじゃな」
「そうなるか」
「そこまで頑張ってくれ」
牧村の目を見ながら告げた。
「頼むぞ」
「俺は死なない」
ここでもこう言う牧村だった。
「それは約束する」
「頼むぞ。それではな」
「ああ、わかった」
こんな話をしていたのだった。そしてだ。
夏が終わろうとする中でだ。屋敷で祖父母に言われたのだった。
「ねえ」
「もうすぐだな」
まずはここからだった。
庭の見える縁先で西瓜を食べているとだ。二人が彼のところに来て言ってきたのだ。
「神戸に戻るのね」
「そうするんだな」
「ああ、そうだ」
その通りだと答えた彼だった。
「この夏は有り難う」
「いえいえ、いいのよ」
「それでだ」
「それで?」
「あんたこれからは」
「どうするつもりだ」
孫にこう問うてきたのだ。
「神戸に戻ったら」
「武道からは離れるのか」
「武道か」
それを聞いてだ。牧村の眉が少し動いた。
そしてそのうえでだ。こう祖父母に返した。
「俺は元々テニスとフェシングの人間だからな」
「それでなのね」
「離れるか」
「座禅はする」
それはだというのだ。
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