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髑髏天使
第六話 大天その十九

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「これで決まりだな」
「うう・・・・・・」
「俺の勝ちだ」
 こう言った。
「そうだな。これで」
「不覚だったわ。まさかそう来るなんて」
「剣は一本より二本の方がいい」
「使いこなせればの話だけれどね」
「それへの答えは今出しておいた」
 翼を動かしやまちちから間合いを離して述べたのだった。
「貴様自身に対してな」
「確かにね。これでね」
「これが大天使の力か」
 今度は自分でその力の凄さを感じるのだった。
「これが。予想以上だ」
「それだけの力があるとは私も知らなかったわ」
「そうか」
「まさかね」
 やまちちは口から血を出しながら言ってきた。致命傷を受けてはいてもまだ宙に浮かんでいる。どうやら最後の力で宙に浮かんでいるようだ。
「けれど。勝敗は絶対だから」
「俺の勝ちだ」
「ええ」
 髑髏天使の言葉に頷いてみせてきた。
「そうよ。見事だったわ」
「そうか」
「貴方の勝ちよ。それは認めるわ」
「他に言い残すことはあるか?」
「別に」
 それはないと言うのだった。
「ないわ。特にね」
「そうか。それならだ」
 右の剣を掲げてきた。そのうえでやまちちに対して問うてきた。
「止めは。いるか」
「いえ、いいわ」
 それは断るのぶすまだった。
「それは別にね」
「いいのか?辛くはないのか」
「確かに辛いわ」
 何故かこう言っていてもやまちちの顔は笑みを浮かべていた。それが髑髏天使にとっては実に奇妙なものに見えていたのである。
「けれどね」
「けれどね。何だ?」
「それが死というものだから」
「受け入れるというのか」
「そうよ」
 やはり笑っていた。
「その通りよ。これもね」
「そうか。ならいいか」
「気持ちだけ受け取っておくわ。それじゃあ」
 身体が次第に燃えてきた。あの紅蓮の炎に。
「さようなら。最後に楽しませてもらったわ」
「ああ」
 やまちちの形をした紅蓮の炎が浮かび上がりそれが終わりの知らせとなった。こうして髑髏天使ははじめて大天使としての力を使ったのだった。だがそれは。さらなる戦いの幕開けであったことを今の彼は知らなかったのだった。
「終わりですか」
 遠く離れたビルにおいてあの老人が紅蓮の炎とまだ空にいる髑髏天使を見て言っていた。
「そしてはじまりですね。これからです」
 最後にこう呟いて姿を消した。髑髏天使の姿を夕焼けの赤い光が照らしていた。


第六話   完


               2008・10・23
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