SAO編
五十六話 骸骨の刈り手と
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ったけどな。けど話せば話すほど疑いが深まっちまって……そのギルドはやめたよ」
「じ、じゃあ……!?」
「初代血盟騎士団の副団長は……彼だ」
「…………!」
「もっとも、私と彼の二人だけ……ギルドと言うより、パーティ程度のものだったがね」
アスナやクラインはおろか、キリトすら、自らの知らなかったリョウの過去に半ば呆然となる。
しかしその後クラインの口からすぐ、怒りを含んだ声が上がる
「じ、じゃあ何でそれを誰にも言わなかったんだテメェ!」
「……言ったら、どうなるか分からなかったからな……まぁ、てめーの命惜しさだよ」
言われたリョウは、さっきまでの無表情だった顔を少しだけ罪悪感に歪める様な表情をしたが、すぐに戻した。
「俺は此奴の正体に殆ど気付いてた。けど、確信が無かったのも事実でな……確かめる方法もねぇし、下手に騒ぎ立てて信じてもらえるとは思えなかったし、最悪消されるとも限らねぇ。おっさんもおっさんで、俺が何も言わなかったからだろ?俺に手を出さなかったのは」
「その通りだ。私は君が抜けた時君に私の正体が看破されている事を真っ先に危惧したが、それを証明する手立てが無かったのでね。君が騒ぎ立てない限り、何もせずただ静観するだけだった」
ちなみに茅場自身、その後何度かリョウとあって話すうちに自身の正体が看破されている事には確信を持っていた。しかし当然、「疑わしきは滅せよ」等と言う理不尽な理由で彼の世界に変化をもたらすかもしれない器を消し去る訳にはいかず、結果として今日まで彼らの間には微妙な緊張感が保たれたまま、しかし何事も起こることなく過ごされてきたのだ。
しかしそれも、つい先程キリトが起こした行動によって一気に崩壊した。
「んな……」
「それで?どうするかね、リョウコウ君。此処で引くか、私を倒してこの世界を終わらせるか。選択の権利は君に有る」
「だめだッ!」
絶句するクラインをよそに、ヒースクリフはリョウへと再び問いかける。しかしそれを、再びさえぎる声が響いた。
キリトである。
動く事も出来ないにも関わらず、必死にリョウの方を向こうともがいている。
「兄貴、受けるな……!!この場で勝負を受けたら……排除されるだけだ!!だから、受けるな……!」
「キリト君の言う通りよ。一度引いて、体勢を立て直すべきだわ……!」
「っはは。ま……分かってんよ〜?」
しかしキリトやアスナの必死さとは真逆に、リョウの声はこの上なく冷静だった。
あっけらかんとした調子でキリトの訴えに答えつつ、倒れたプレイヤー達の中を前へと出て来る。
「けどまぁ……此処は受けるだろ」
「兄貴……!」
「リョウッ!!」
さらりと、キリト達の訴えを無視して決闘を受けたリョウに、キリトとアスナは一際大きな叫び声を上げた。
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