第四十七話 神々その二
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「やはり食べることじゃ」
「そうですよね」
ろく子の首がここで延びてきた。身体はそのまま箸を持っている。
「やっぱり食べないと駄目ですよね」
「うむ。そうじゃ」
「このおうどんも」
ろく子は今度は鍋の中のそのうどんを見ながら話す。
「身体にいいですからね」
「あれじゃな」
子泣き爺もそのうどんを食べている。そうしながらろく子に応えるのだ。
「身体があったまるからじゃな」
「はい、そうです」
「うどんだけではないからのう」
砂かけ婆も当然ながら食べている。
「お野菜に茸にのう」
「葱に白菜に」
塗り壁はそのうどんと共に鍋の中にあるものを見ている。
「椎茸にエノキにね」
「それにお豆腐」
一旦木綿は実際に豆腐を鍋からすくって己の茶碗の中に入れている。
「これもよいよい」
「御餅もね」
からかさはそれだった。
「おうどんに合うんだよね」
「揚げもだよ」
「これも外せないし」
ひょうすべとさとりは揚げを楽しんでいる。
「とにかく。おうどんってこういうのをどんどん入れて食べられるから」
「いいんだよね」
「暑いけれどね」
雪女はこのことに苦笑いだった。その白い顔に汗をかいている。それが何処か溶けそうな、そんな感じを周囲に見せてもいた。
「それが困るけれど」
「あの、雪女さんって」
雨ふり小僧がその雪女に尋ねる。
「夏でもいいんですか?」
「何とかね」
「そうなんですか」
「溶けることはないわ」
それはいいというのである。本人の言葉ではだ。
「ただね」
「ただ?」
「苦手なのは確かよ」
言いながらうどんをさらに食べる。ただし口の中に入れる前にだ。口から冷たい息を出してそれで冷やすことも忘れていない。
「こうしないと食べられないから」
「辛いですね、それは」
「雪女だからね」
理由はこれに尽きた。
「暑いのとか熱いのには弱いのよ」
「けれどこうして一緒に食べられる」
輪入道は茶碗を己の前に浮かせて念力でうどんをその中に入れてだ。そのうえでうどんやその他のものを食べてそうしながら話している。
「友達としてはそれが嬉しいよ」
「そうじゃのう」
博士もだ。そのことを喜んでうどんをさらに食べていく。
「こうして大勢で食べてこそじゃな」
「そうそう。冷凍うどんっていいよね」
「幾らでも食べられるし」
「しかも鍋に最適」
「いい食べ物だよ」
妖怪達は機嫌のいい声でそれぞれ言う。そのうえでだ。
牧村にも顔を向けてだ。彼に言うのであった。
「食べて食べて」
「どんどんね」
「遠慮はいらないよ」
「最初からしていない」
こう返す牧村だった。実際に彼の茶碗の中には大量のうどんがある。それに葱や春菊、そして鶏肉に鱈まで入っていた
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