SAO編
五十五話 出陣
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て……集中砲火でも受けたのか?」
「それは確認できなかったらしいが……一斉に複数だったらしいから、その可能性は低いと思う」
話すほどに、シュミットの表情が暗さを増して行く。
「おいおい……範囲攻撃で、んなあっという間に殺れる攻撃があちらさんに有るってのか?」
「そう言う風に、大ギルド間じゃ噂になってる。あくまで噂だけど……注意はしておいてくれ」
「っち……心得た。あんた、死ぬなよ」
「あんたもな」
それを最後に、リョウとシュミットは離れる。
お互い、アタッカーとタンクとして、互いの実力を認めていた。
「さてさて……」
転移門の方に目をやると、キリトがアスナに何かを言われてぎこちない様子でギルド式の礼をとっていると言う奇妙な図が展開されていた。
「何してんだか……」
言うのは、やめておこうと思う。もし不足が起これば、自分がフォローすれば良い。
「ボスじゃ無く人にビビりか?」
そんな軽口をたたきながら、リョウはキリトの元へと走った。
────
その後やって来たヒースクリフが、ボス部屋の直前まで高価な回廊《コリドー》結晶《クリスタル》を使ってくれたため、リョウ達攻略メンバーはボス部屋の前まで即座に転移する事が出来た。
直ぐにメンバーが三々五々に散る中、リョウは一人、アイテムを懐に仕込みながら《聞き耳》のスキルを発動させる。
理由は……単純に柱の陰に隠れたキリトが弱気になっていないか確認したかったからだ。
だが……
「大丈夫だよ……」
その役を、当然と言うべきかアスナが買って出ていた。
「キリト君は、私が守る」
「いや、そうじゃなくて」(そうじゃねぇって)
恐らくキリトが最も不安になるとすればそこでは無い。
リョウが心の中でそう言おうとして、アスナが笑っている事に気が付いた。
「……だから、キリト君は私を守ってね?」
正直な所、リョウはこの時、自分の中で少しキリトを侮っていた事を認めなければならないだろう。
キリトは元来臆病な人間だ。単純な所“人の命を背負う”と言うのが苦手なのである。
ゲーム開始前から共に居るリョウは知っていたが、ゲーム開始時にクラインと別れてしまった事はそれを如実に表しているし、サチの件でそれは拍車がかかっていた。
そもそもキリトがソロと言うスタイルを選んだこと自体、効率云々以前にそれが前提に会った事は間違いないのだ。
それを知っていた。だからこそ……
「あぁ……必ず」
キリトのこの一言を聞いた時、リョウの瞳は一段と大きく見開かれた。
その時、ヒースクリフから召集が掛る。
プレイヤーたちが一斉にボス部屋の扉の前に並び、ヒースクリフの「では、行こうか」と言う声と共に緊張が高まる。
そんな中
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