SAO編
五十五話 出陣
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これまでで、丁度この世界に来てから二年がたつ。
早ければ来年の夏には自分は現実世界のベットの上だ。それまで、自分の命と、そして義弟の命を自分は守って行かねばならない。
『あとはサチと……アスナもだな……シリカとか、エギルとリズもか?』
出来るのなら、親しい人間が死ぬ所などもう二度と見たくは無い。
それにしても……
『増えたな……』
そう。随分と増えた。
SAO《ここ》に来た時は、たった一人だったはずなのだが……毎日どたばたやっている内に、随分と腕に抱えたものだ。
「っま、それもまた良し……だな」
失いたく無い物は、手の届く範囲ならば多くて悪い事は無い。
無論、それが有る限り失うことへの覚悟は必要だろうが、それが出来ないならば人は何も腕の中に抱え込むことはできないのだろう。
『その覚悟が……あんときの俺にゃ無かっただけの話……か』
そんな事を思いながらもう一口サンドウィッチを食んでみて……
「……ん!」
それが今日のサチ渾身のサンドだった事を、リョウは随分後になってから知るのだった。
────
「よっと……」
第七十五層主街区 コリニアのゲートには、既に攻略組の面々が姿を見せていた。
今日は三十三人程集まると言う話しだったはずだから、既に七割は居るだろう。
人の輪の中へと入ろうとすると、周りの殆どが此方を見ている事に気付く。
その眼に有るのは、好意的な期待、尊敬、信頼から……遠慮、打算的な期待、猜疑心、恐怖、憎悪まで様々だったが、取りあえず好意的な方にのみ目配せと礼を返して人混みの中に紛れる。
「リョウさん、相変わらずだね」
「おっ?」
後ろから、ポンっと肩を叩かれ振り返ると、そこに居たのは笑う棺桶討伐戦の時にも共闘した男、蒼を基調とした重厚なフルプレートアーマーに身を包んだ重両手槍使いで、DDA……攻略組屈指の壁戦士《タンク》である、シュミットだった。
「シュミットさんこそ、相変わらず高校の馬上槍部みたいな重装備だな……重くねぇの?」
「先ずその印象について激しく突っ込みたいところだけど、やめておこうか。それと、重さに関してそれを振り回してるリョウさんには言われたくない」
「ははは……そりゃそうか。で、本題は?」
「ボスの攻撃に関してギルド内で不確定だけど情報がある」
「はいぃ?」
見ると、シュミットさんは若干神妙な面持ちで此方を見ている。
どうでもいいがこの人、顔は良い。
「扉が閉まって直ぐにフレンドリストで生存確認をしたメンバーの話なんだが……」
「良い判断力してんなそのメンバー。大事にしろよ」
「分かってる。優秀な新人だ。っと、それは良いんだが……生存していたメンバーが死亡するまでに、時間が短すぎたと言う話なんだ……」
「時間がっ
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