第四十六話 形変その九
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「行こうか」
「そうだな。それではだ」
「場所は案内するよ」
目玉は彼にまた言ってきた。
「これからね」
「頼む」
「あとね」
ここでまた言う目玉だった。
「彼だけれど」
「死神か」
「うん、下にいるから」
そこにだというのだ。
「ハーレーに乗ったままでね。待ってるから」
「あいつもいるのか。やはりな」
「僕達はいつも一緒だからね」
ここでこんなことも言う目玉だった。
「だからね」
「そうだったな。死神と眠りの神はな」
「一緒だよ。ギリシアのあの二人と一緒さ」
ここでこんなことも言う目玉だった。
「タナトスとヒュプノスとね」
「死と眠りは同じか」
「そういうこと。日本でもよく同じように言われるよね」
「確かにな」
牧村もそれは否定しなかった。よく使われる死んだように眠るという表現や死ぬことを眠ると言う場合を考えてだ。彼も否定しなかったのだ。
「それはな」
「そういうことだから」
また言う目玉であった。
「じゃあ話はこれでね」
「行くか」
「下に来てくれたらいいよ」
目玉はそうしろというのだった。
「それでそこからサイドカーでね」
「進んでか」
「そういうこと。じゃあ行こう」
「わかった」
このやり取りの後で下に向かい駐車場に出た。そこからだった。
サイドカーに乗る。すると目の前にそのハーレーに乗った死神がいた。
彼はだ。牧村にすぐに言ってきた。
「行くぞ」
「わかっている」
こう答える牧村だった。
「それで場所は何処だ」
「そこはね」
また目玉が出て来た。死神のその肩のところに浮かんでいる。
「公園だよ」
「公園。大阪城のか」
「違うよ。鶴見緑地だよ」
そこだというのである。
「ほら、万博のあった」
「万博か」
「そう、あれが開かれていたね」
こう牧村に話すのだった。
「そこなんだよ」
「わかった」
牧村は一言で頷いた。
「なら行くとするか」
「うん、行こう」
「そこにまたいるのか」
「今度はどんな妖魔だろうね」
目玉がまた言ってきた。
「一体ね」
「それを見るのも楽しみだ。それならだ」
サイドカーを発進させた。そうしてであった。
その鶴見緑地に向かう。その途中でだ。
牧村と死神は並行して走る。そうして。
それぞれ変身の仕草に入る。二つの光が二人のバイクを包んだ。
それが消えた時にだ。もう彼等は戦う姿になっていた。そしてだ。
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