第四十六話 形変その三
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「わしも一緒に行ってよいかのう」
「京都にまでですね」
「左様、その南禅寺までじゃ。駄目かのう」
「いえ」
老人は微笑んでだった。こう老婆に答えたのだった。
「では共に」
「よいのじゃな」
「美味しいものは一人で食べてもあまり美味しくないものです」
「より多くで食べてじゃな」
「はい、だからです」
それでだというのだ。
「ですから。私からも御願いします」
「それでは共に行くか」
「皆さんも如何ですか」
老人は他の魔神達も誘った。同胞達をだ。
「それで」
「そうね。お豆腐ね」
「悪くはないな」
「それなら」
他の魔神も口々に答えてきた。これで決まりだった。
彼等は京都に向かいそこで湯豆腐を楽しむのだった。そうしたのである。
そしてだ。彼等はだった。まさ大阪にいた。
「終わりね」
「中学校はだな」
牧村が未久に言う。今彼等は祖父母の屋敷で昼食を食べている。白い御飯に揚げの味噌汁、それとホウレンソウのお浸しに海苔であった。それを食べながらだ。
兄がだ。こう妹に答えた。
「大学はまだある」
「夏休み滅茶苦茶長くない?」
「夏休みだけではない」
「そうよね、冬休みも春休みもよね」
「大体三分の一が休みだ」
そこまであるのだと話した。
「それ位はある」
「やっぱり長いわね」
「そしてその間は」
「そうやってトレーニングなのね」
「そうだ」
まさにそうだというのである。
「トレーニングを欠かさない」
「何か大変ね」
「大変ではない」
牧村はそれは否定した。そして言うのだった。
「何故ならだ」
「何故なら?」
「日課だからだ」
それでだというのだ。
「だからだ。大変とは思わない」
「それでなの?」
「言うならばだ」
「ええ」
「学校の授業と同じだ」
「それか部活か?」
「そういうことだ。それでわかったな」
「ええ、成程ね」
未久は腕を組んで納得した顔で述べた。
「それでなのね」
「そういうことだ」
「ただね」
「何だ、一体」
「トレーニングはずっと続けるの?」
こう言うのであった。
「それは」
「ずっとか」
「そうよ、ずっと続けるの?」
兄に対してそのトレーニングそのものについて尋ねるのだった。
「やっぱり」
「つまりだ」
「そうよ。大学が終わって」
「ああ」
「若奈さんのお店に入って。それでもなの?」
「言うことはそれか」
牧村は若奈のその話を聞いてだ。目を妹に向けてだ。そうしてそのうえで話す。その顔はだ。かなり真剣な顔になって話すのだった。
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