SAO編
五十四話 釣りは待つが肝
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「んじゃまぁ、やりますかぁ?」
巨大な湖の前で、リョウは一人、そんな言葉を呟く。
周囲には大勢のギャラリーとキリト達三人の姿があり、大きな声で声援を送って来る。
「兄貴!頑張れよー!」
「リョウ!しっかりねー!」
「お魚に引き込まれちゃだめだよー!?」
「へいへいっと…………」
こうなったのは、昨日出会った、一人の初老の釣り師が発端だ。
ニシダと名乗った五十代くらいのその釣り師の男性とは、リョウとキリトが晩のおかずの足しにと釣れぬ竿を振っていた時にたまたま話したのがきっかけで、夕飯に釣った魚(生産担当・ニシダさん)をこの世界には殆ど無い醤油(アスナ作)と、味噌(サチ作)を使って。魚のフルコースを振るまい(消費担当・リョウ&キリト)非常に仲良くなった。
さて、会話もそこそこに食事をしていた時、不意に、ニシダの口から少々面白そうな話題が飛び出した。
曰く、第二十二層の巨大湖には「主」が居る。
何でも、コラルの村に一本だけ、非常に値段の高いつりざおが有り、それを、この階層で唯一難易度の高い巨大湖で使うと、そこでのみ、その竿がヒットしたのだと言う。
竿は取られてしまったものの、一瞬だけ見たその大きさは大きいなどと言うものでは無く、正にモンスターだったのだとか。
「おもしろそうっすねぇ……」
「でしょう?そこでものは相談なのですが……」
ニシダの細い黒メガネがきらりと光る。
「お二方、筋力値の方に自信は……?」
「あー、えぇまぁそれなりには」
「約一名、絶対的に自信のある人が居ます」
「ほほう!」
リョウの方ははぐらかそうとしたものの、キリトがそれを許さず、もろに指を差してそう言い放つ。ニシダの顔が一段と輝いた。
「なら、一緒にやりませんか!合わせる所までは私がやります。そこから先を、お願いしたい」
「あー、釣り竿版の《スイッチ》ってわけですか……」
「面白そう!」
「だな、兄貴やろうぜ?」
「楽しそうだね……やってみたら?リョウ」
アスナが少々興奮したように、キリトがニヤッと笑って、サチは微笑みながらそんな事を言う。
何故だろうか?三人の後ろに「ワクワク!ドキドキ!」と言う文字が見えた気がする……
『まぁ、俺も興味有るし……』
「んじゃ、やっちゃいますか?」
ニヤリと笑ったリョウに、ニシダは「そうこなくては!」と言うと、実に愉快そうにわ、は、は、と笑った。
そして、時は現在に戻る。
リョウの前に立つニシダは長大な竿を持ち、それを構えて此方を向き不敵な笑みを浮かべる。
餌は、体調40センチはあろうかと言う巨大なトカゲだ。
「用意はよろしいですかな?」
「うっす!いつでもどうぞ?」
「ではっ!」
そう言うと、ニシダは勢い
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