SAO編
五十四話 釣りは待つが肝
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よく竿を構え、ぶんっ!と言う景気の良い音と共に水面に向かってトカゲを放り投げた。
ぼちゃんっ。と言う釣りにはあるまじき盛大な音と共に餌が着水し、その時を待つ。
基本的に、SAOにおける釣りと言うのはあくまでミニゲームの様な物なので、他のRPGと同じく餌を入れてから魚が釣れる釣れないの結果が出るまでそれほど長い時間はかからない。
十五秒もすれば、餌が取られるか魚が掛るか二つに一つの結果が出る。
今回もまた、それはすぐにやってきた。
巨大な竿の先端が、ピクリっと震える。
「来ましたね」
「来ましたな」
リョウとニシダが同時に言う。
ニシダはそのまま竿の先端を見つめたままじっと動かず、キリトや女子二名はそわそわし始めているが、リョウや周囲に集まったギャラリーの釣り人たちは焦る様子も無くじっと時を待つ。
ちなみに、釣り人たちはそれが当然であるからであり、リョウは単純にこういうのはプロに任せた方がいいと思っているからだ。
と、時間にして数秒。人きは大きく竿の先端が水面へとしなった瞬間、ニシダがその短躯を一気に仰け反らせ、それを思いっきり引いた。
途端、竿の先に有った糸が、ビィンッ!と張り詰めた音を響かせる。
「掛りました!後はお任せしますよ!」
言うが早いがニシダはリョウに竿を手渡し、さっとその斜め後ろに付く。
試しにリョウが渡された竿を軽く引くと、まるで水面下の地面に針が引っ掛かってしまったのではないかと思うほどにビクともしなかった。
と、次の瞬間……
「おっ?と……」
猛烈な勢いで竿が水底に向かって引き込まれ、不意打ちを受けたリョウは竿を持っていた右腕に少々強めに力を掛ける。
『なーるほど。こりゃ確かに……』
並みの筋力値で支えられるような重さではないだろう。
そう思っている間にも、竿の先に居るであろう湖の主は、自分を捕えんとする魔の手から逃れようとするかのように右へ左へと大暴れする。
が……
「まぁ、しかしこのくらいなら……」
余裕だな。と心の中でぼやきつつ、徐々に魚の力を支えている右腕の力を増加させていく。
リョウの馬鹿げた力に魚の力が負け、引かれ始めた所で……
「片手……いっっぽん釣りいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
筋力値を最大。
片手一本で竿を思い切り引き上げ……
「へ?」
「は?」
「おや?」
“体高二m半を超える”爬虫類型の巨大魚を、自分の頭の上を乗り越えて後ろの地面へと叩きつけた。
「「「「「「「「「デッカァ!?」」」」」」」」」
ギャラリーと、キリト達四人の声が完全にリンクした。
────
さて、現在の状況を説明しよう。
どうにもリョウはとんでもない魚を引き上げてしまったらしい
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