SAO編
五十三話 許されぬ幸せ、押し通す思い。
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唯了承してくれたユイに、リョウは一瞬苦笑して、「さて!昼寝の時間だ!」と言いながらキーボードをダンッ!と叩いた。
途端、リョウの眼前に合ったディスプレイにプログレスバーが表示され、線が徐々に溜まって行く。それと同時に、ユイの身体が優しい藍色の光に包まれる。
「わ……」
「ゆ、ユイちゃん、大丈夫?」
「安心していいぞユイ。オブジェクト化の準備みたいなもんだ」
「そう言う事だ。どれ、アスナ」
「あ、うん……」
徐々に輝きを増して行くユイの身体を、アスナはそっと抱きあげる。その正面にキリトが立ち、リョウは先程と同じように、少し離れて腕を組む。
「ユイ、気分どうだ?苦しくないか?」
「はい……大丈夫です……でも少し……眠くなって……」
キリトの言葉に、ユイはトロンとして来た眼で答える。成程、圧縮すると言うのは、AIで有る彼女にとっては本当に寝るのと変わらないのだろう。
アスナは眠そうに眼をこするユイの頭を愛しそうに撫で、柔らかく微笑する。
「ユイちゃん……お休み」
「ふぁい……お休みなさい……ママ……パパ……」
「あぁ。お休み」
最後に少し強い光に包まれたユイは、眠りに落ちる子供その物の顔で、眼をゆっくり閉じた。
────
「ふぅー。やーっと戻ってきたっつー感じだな」
「だな、実際は三日しか経ってないのに……なんか、随分長く下に居た様な気がするよ……」
「長い旅行してたみたい……」
「そうだね……」
第二十二層、コラルの村。ようやく帰りついた自分達の暮らす階層の転移門の前で、四人はそれぞれ呟く。
あの後、街に戻ったリョウ達三人はサチに事情を説明。
サチは若干泣きかけたが、目の前のアスナが平気だと笑っているのを見て、お返しの様に(半泣きで)微笑んだ。
そして今アスナの首元には、オブジェクト化したユイのコアプログラムが、涙滴型クリスタルのネックレスとして掛っている。
それは一定周期でまるで心臓が鼓動するように光を放ち、それが生きている事を伝える。
彼女が再びあの姿としてよみがえる時……その時は、今居るこの世界の全てが終わり、元の世界へと帰りついている時……アスナはその事を噛みしめるように思い出して、ゆっくりと空を覆う鉄の蓋を仰ぐ。
全てが終わるまで、あとどれだけの時間がかかるのか。それは誰にも、まったく分からない。
しかし、やがてはこの穏やかで温かい日々は終わりを告げ、再び命のやり取りをする場へと自分達は戻るのだろう。
それが明日か……はたまた十日後なのか……少なくとも、そう遠くない日である事は、アスナ含め、リョウとキリト、そしてサチも、感じ取っていた。
「さ、帰ろうぜ?俺達の家によ」
「あぁ」
「うん」
「えぇ」
何処か遠くから……闘いの足音が、聴こ
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