SAO編
五十三話 許されぬ幸せ、押し通す思い。
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わち、自分が元に戻ったのは今リョウが操作しているGM緊急アクセス用コンソールに触れ、カーディナルのエラー訂正プログラムが働いたからである事。
先程のボスモンスターはプレイヤーがこの場所に接近出来ないよう、防衛の為に設置されたものであろう事。それを消し去った焔剣はユイのGM権限を使って呼び出した物だった事。
そしてこれらの操作。特にエラー訂正プログラムに干渉された事によって、今まで放置状態になっていたユイのプログラムにカーディナルが注目してしまい、間もなく自分が異物として消去《デリート》されてしまうであろう事まで。
全てを聞き終えたアスナは、絶望的な表情を浮かべて小さく呟く。
「そんな……じゃあ……ユイちゃん……」
「ごめんなさいママ……ここでお別れ──「待てコラ」え……」
割り込んできた言葉に、ユイは再び疑問の声を上げたが、それを更にリョウの不機嫌そうな声が遮った。
「誰が別れまで告げろっつったよ。つか、俺が何の為に柄にも無く必死こいてると思ってんだお前ぇは」
「オイオイ……兄貴まさか侵入……」
アスナとユイが意味も分からず呆然とする中、キリトが呟いた一言に、ニヤリと笑ってリョウは答える。
「ったりめぇだ。俺はユイ坊の叔父だし、端くれだがプログラマーなんだっつーの……たかだかシステム如きに手前《テメェ》の姪っ子まで好き勝手されて、黙ってられっか……!」
「リョウ……」
アスナが驚いたような、呆然としたような声をあげる横でキリトは少し口角を上げ、若干嬉しそうに笑う。
「さて……ユイ坊!」
「は、はひ!」
「どもんなよ……一旦お前のコアプログラムを圧縮してオブジェクト化する。ゲームクリアと同時にキリトのナーヴギアのローカルメモリに回すから、お前はそれまで昼寝だ」
「お、お昼寝……ですか?」
「あぁ。次起きたら大分時間経ってるだろうが……ま、少なくとも二度と起きれねぇなんて事にはならねぇから安心しろ。それとな……」
「はい」
一旦キーボードの操作を止め、リョウはユイに向き合う。
「あっちで起きたら……ちっとだけで良い。お前の生みの親に、会ってくれねぇか……?」
「へ?」
リョウの頼み込む視線を受け取りながら、ユイは質問の意味を分かりかねたように少し首を傾げる。
対し、リョウは少し言いずらそうにした後、ゆっくりと口を開く。
「その……な、俺の姉貴結構自分の作ったりしたもんに愛着持つタイプだからよ。多分だけど……お前の事も、かな―り心配してっと思うんだ。だからまぁ、顔も見たくねぇかもしんねぇけど、少しだけ、顔見せてやってくんねぇか?」
「えっと……良く分からないですけど……分かりました」
「……そうか。サンキューな」
分かったのか分からないのか。この際そこはどうでも良い。
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