第四十五話 新生その八
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「何故じゃろうか」
「食事に関係あるのか」
「まあ薬は飲んでおる」
話がここで変わった。
「そのせいかのう」
「薬か」
「丹薬じゃ」
それだというのである。
「それを飲んでおるがな」
「丹薬か」
「知っておるな」
「不老不死の薬だったな」
こう返す牧村だった。
「確か」
「左様、無論水銀等は入れてはおらぬ」
「純粋な丹薬か」
「不老不死にはならんが健康になる」
そうなるというのだった。
「それは飲んでおるがな」
「ではそのせいだな」
牧村はここで謎を解いたのだった。
「それでか」
「そうなるかのう、やはり」
「なると思う。しかし水銀を入れないのはいいことだな」
「かつては入っておったからな」
「始皇帝だな」
「始皇帝の死因の一つじゃ」
実際にそう言われている。
「他には激務による過労もあったがな」
「しかし水銀はやはり大きな原因だな」
「それは間違いない」
そうだというのだった。
「だからそういうものは入れてはおらんぞ」
「当然と言えば当然だな」
「うむ」
こう返す博士だった。
「だからそういうものは入れてはおらん」
「では何を入れている」
「無論身体にいいものばかりじゃ」
「具体的に言えば」
「大蒜に」
最初はそれだった。
「それと干し椎茸に高麗人参にじゃ」
「そういうものか」
「他にはスッポンのエキスも入れておる」
これも来た。
「マムシもな」
「確かに身体にいいものばかりだな」
「そうしたもので作った丹薬を飲んでおるからな」
「そしてそれだけではないな」
「わかるようじゃな」
「一つのものだけでは長寿は得られない」
牧村はこのことを指摘してみせた。
「多くの要因があってこそだ。違うか」
「それもその通りじゃ」
博士自身もそのことを認めた。
「無論それだけではなくじゃ」
「他には何だ」
「充分な睡眠と」
これもあるというのだ。
「あまり怒らないことじゃな」
「それもか」
「不摂生にストレスが一番よくない」
よく言われることをだ。博士も言うのだった。
「だからのう」
「それでか」
「左様じゃ。とにかくそういうことをしてきてじゃ」
「長生きをしているか」
「そういうことじゃ。充分にな」
こう牧村に話すのだった。
そしてお好み焼きを食べながらだ。また話した。
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