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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
無印編
第十七話 破壊の咆哮   ★
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ない強い吸血衝動。
 どれだけの日数がかかるかはわからない。

(……いつでも怖いな)

 手に握る赤と黒の宝石を見つめる。
 自分が自分でなくなるような恐怖。
 自分が守りたいと思った存在を傷つけてしまうのではないかという恐怖。
 この世界に来て初めてだった。
 これほど不安定になって自分自身に恐怖を感じるのは

(……一人か)

 孤独というのも多少は関係してるのかもしれない。
 元の世界では誰かがずっとそばにいてくれた。
 特にイリヤは死徒になり日光ですら克服しながらも、吸血衝動がなかなか安定しない俺にすぐに気がついてくれた。

 あの時の俺は夜になり闇に囲まれた時、大切な人の血を求めて、怯えていたのだ。
 だがイリヤは何も言わずただ抱きしめ、歌を歌っていてくれた。
 皆と離れていても温もりを思い出すことは出来た。

 だがこの世界は違う。

 この世界は俺のいた世界ではないのだ。

 誰もいない。

 そう、誰もいないのだ。

 たった一人。

 俺は自分自身の闇を恐れながらゆっくりと意識を手放した。
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