第六話 大天その十五
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「行くわよ」
「ならば俺も」
牧村も彼女の変化を見て両手を動かしてきた。
両手を前にやってそれを拳にする。その二つの拳を胸の前で打ち合わせる。すると拳と拳の間から白い光が起こり彼の全身を包み込んだ。顔が白い髑髏となり身体は白銀の甲冑に包まれる。そして右手を少し前に出して開いてから握り締める。そのうえで言った。
「行くぞ」
「あんたのことはもう聞いているわ」
やまちちはこう言うとまずは上に跳んだ。
「色々とね」
「あの年寄りからは」
「あの方からもだけれど」
老人をあの方と呼びつつ風に乗ってきた。
「他にもね。聞いているのよ」
「どうやら魔物は一匹狼というわけではないようだな」
「そうよ」
空を滑るように舞いながら髑髏天使の言葉に答える。
「生憎ね。それなりの世界があるのよ」
「そうか」
「そして」
やまちちは言いつつ降下してきた。
「こうしてね」
「むっ!?」
降下しつつその爪で髑髏天使を襲ってきた。
「あんたを狙っているのよ」
「俺をか」
「五十年に一度姿を現わし魔物を倒す髑髏天使」
このことも髑髏天使本人に対して告げる。
「そのあんたを倒せば魔物にとって究極の力が手に入ることもね」
「つまり俺は獲物か」
「獲物?違うわ」
「違うというのか」
「あんたは私達を倒す存在」
このことはわかっているようだった。髑髏天使が自分達にとってどういう存在なのかを。
「それはね」
「しかし俺を狙っていると言った」
「それもその通りよ」
「その通りだと?」
「そうよ。つまり狙い狙われる」
一旦着地してきた。そして今度は両手の爪を縦横に振りそれで髑髏天使を切り裂こうとする。髑髏天使は右手に剣を出しそれで応戦する。
「それだけのことよ」
「お互いを殺し合う存在か」
「そういうこと。わかったかしら」
「一応はな」
言葉と共に今度は髑髏天使から攻撃を加えた。右手の剣で何度も突きを繰り出す。しかしそれはのぶすまの爪により全て弾かれる。
だがそれでも髑髏天使の攻撃は続く。今度は下から上に剣を突き上げてきた。
「むっ!?」
「ならばだ」
突き上げながらのぶすまに対して言う。
「こちらも狙う。貴様等の命をな」
「あたし達が狙っているからかしら」
「それは違う」
このことは否定する髑髏天使だった。
「俺は髑髏天使だ」
「それで?」
「だからだ。髑髏天使は魔物を倒す」
彼等にとっては今更という言葉だった。だがそれでも髑髏天使として言うのだった。
「それに従う」
「そういうことね。わかったわ」
「わかっただと」
「あんた、いい流れよ」
のぶすまの声が笑っていた。
「その流れ。私達と同じね」
「御前達と同じだと。どういうことか」
「さあ。
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