SAO編
五十二話 夢想の子
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の心が偽物なんて……そんなこと言う人が居たら私が、私達がやっつけてあげる!」
リョウの後ろにいたアスナが中腰の姿勢になって此方を覗き込み、優しい笑顔を浮かべる。
後ろに居たキリトは腕を組んでいるが、其方もまた見守るような笑顔だ。
「アスナさん……キリトさん……」
「お前はもう、システムに操られるだけのプログラムなんかじゃねぇ。その事を誰も否定したりしねぇし、させやしねぇ……だからよ、今度はお前がプログラムとして伝えるべき事じゃ無く、ユイとして、伝えたい言葉をこいつらに伝えてみろ。」
「でも……「知ってるか?ユイ」」
本当に良いのか、そう思ったユイの戸惑うような言葉をリョウは手を翳してさえぎる。
少し強引だが、此処でこれ以上問答するのは時間の無駄だと感じた。
「子供ってのは、親には我が儘言って良いんだぜ?」
「っ……!わたし……は……」
そう言って、リョウがキリト達との間から横にのき、ユイと二人を向き合わせる。
二人は少しだけ微笑みながらユイの事を見つめ、その顔をまともに見た瞬間、ユイの涙腺は崩れ落ちた。
「ずっと……ずっと一緒にいたいです……!パパ……ママァ……!」
そう言って腕を伸ばしたユイに、同じように泣いてしまったアスナは駆け寄ると、その小さな身体を包み込むように抱きしめた。
直ぐに横にキリトが付き、子供であるユイを中心に三人で向き合うその姿は、紛れもない。親子のそれであった。
その姿を少し離れながら眺めていたリョウは、ふと、姉とのMHCPに関するもう一つの会話を思い出す。
────
『ねぇりょう?』
『んー?』
『もしも仮に、今作ってるこの子みたいな子が沢山出来て、いずれは現実の人々と家族の一員のように暮らす事が出来る日が来るとしたら……とっても素敵だと思わない?』
『姉貴の良く言う《人とプログラムの相互理解と共存》って奴か?そりゃまぁ面白れぇけどよ、機会が人と争わないっつーのが大前提だし、大体、それやるにゃ少なくともあと10年……いや、15年は間違いなくかかんだろ』
『あら、りょうも分かってきたじゃない?…………でも、そうね……時間はかかるでしょう……だけど実現してみせるわ。絶対に、私が作り出したこの子たちと一緒に……』
『相変わらず夢多いなぁ……』
『えぇ。夢は多い方が良いもの』
『もうなんども聞いた』
『ふふっ』
────
「はは……姉貴の夢も、あながち馬鹿に出来ねぇな……」
誰に聞こえる事も無い小さな言葉を、リョウは地下道の天井に向かって呟いた。
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